「第2のテスラ」狙う中国EVベンチャーの実力 元BMW幹部が開発、超ハイテクEVは可能か

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2017年9月からは、南京の特区内に17億ドル(約1900億円)をかけて工場を建設中。2019年末までに中国市場で販売が始まる予定だ。2020年には米国や欧州への投入も予定している。

航続距離は最大520キロメートルで、まずは、限定的な条件・環境下でシステムが稼働する「レベル3」の自動運転機能が搭載される予定。販売価格は4万5000ドル(約500万円)からで、同社がベンチマークとするテスラ「モデルX」と大きく変わらない性能ながら、価格は約半分だ。

車内に取り付けられたカメラで人の動きを検知(記者撮影)

ある日本の大手自動車メーカー幹部は、「機能の目新しさもさることながら、他の中国EVベンチャーとは異なり車体のデザインが洗練されている。この車が本当に量産化されれば、無視はできないだろう」と語る。

ただバイトンが掲げるロードマップを実現させるためには、今後いくつもの高いハードルを突破する必要がある。

中国政府の生産許可がなかなか下りない

最初の難関は、中国政府からの車体生産の認証がなかなか取得できない点にある。南京の工場建設こそ許可されたものの、「生産開始および販売のライセンスはまだ取れていない」(共同創業者のダニエル・キルチャート氏)。CESで披露された試作車は、ドイツで製造されたものだという。

共同創業者のダニエル・キルヒャート氏(左)とカーステン・ブライトフェルド氏(右)。2人とも独BMWの出身だ(記者撮影)

中国のEV事情に詳しい現代文化研究所の呉保寧・上席主任研究員によれば、中国でEV事業に新規参入するためには、投資プロセスに関する認証を取ることが必須。ただ、その条件は非常に厳しく、試作車の数、工場設備の充実度、研究開発施設の設置などで一定の基準を満たす必要がある。

「現在数多くの会社がEVに新規参入する中で、この認証を取得できたのはたった15社のみ。しかも既存の自動車メーカーや自動車部品メーカーばかりが占めており、一から事業を始めるスタートアップ企業が認証された例はない」(呉氏)。

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