マツキヨと第一生命、「連携」の微妙な温度差 生保販売で提携も現状はパンフ配布止まり

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第一生命側には、顧客との接点を増やしていきたい狙いがある。かつての営業先は顧客の自宅や職場が中心だったが、最近では銀行や保険ショップなどの販売代理店などにも広がっており、ドラッグストアも新たな代理店に位置付けた格好だ。

調剤チェーンは病気をすでに患っている人の来店が多い一方で「ドラッグストアと組むことは日ごろから将来の健康を意識している層の情報を得ることができる」(営業企画部の鎭目哲郎次長)。今後、両社は双方の持つノウハウや販売などにかかわるビッグデータを活用し、独自に保険商品の開発も目指すという。

前のめりの第一生命と瀬踏みのマツキヨ

一方で、両社の思惑には温度差も見られる。第一生命はマツキヨ店舗へのパンフレット設置にとどまらず、販売員の導入にも前のめりだ。一方で、マツモトキヨシホールディングスの小部真吾取締役管理本部長兼人事部長(マツモトキヨシ取締役)は、「保険販売は健康サポ―ト薬局の取り組みの1つにすぎない」と強調する。マツキヨは、店頭でのパンフレット配布で、瀬踏みをする構えのようだ。

健康寿命に対する関心の高まりから新市場の拡大を見通す両社ながら、短期的な戦術についての考え方には違いが見られる。

実際、昨年12月にマツキヨ店舗にパンフレットを設置以降、来店客からの問い合わせ件数は多くないという。今後は導入店舗の拡大など両社で話し合って進めるという。保険各社は顧客との接点を少しでも増やそうと試行錯誤しているが、始まったばかりで営業上の効果を図るには時期尚早なのかもしれない。

週刊東洋経済』1月20日号(1月15日発売)の特集は「保険に騙されるな」です。
若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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