「チケットキャンプ」が突然終了した深刻事情 無策どころか、転売業者に対する優遇も
もともとチケットキャンプは、チケットを入手したい買い手と、急な用事などでチケットが余った売り手を結びつけることが主な目的だった。しかし事業が拡大するにつれ、営利目的でチケットの売買を行う転売業者が販売先として利用するようになっていた。
音楽コンサートなどの興行では席の人気に応じてチケット価格に差を付けることが少ない。そのため、定価で仕入れてチケットキャンプに流すだけで定価の数倍で売れるチケットも多い。
音楽業界の意見広告が契機
転売業者は公式抽選に大量の応募を行うことでチケットを仕入れ、高額で転売することで利ザヤを稼ぐ。こうした転売屋の組織的な買い占めにより、一般ユーザーが正規のチケットを手に入りづらくなる事態が生じるようになった。
これに対し、音楽業界を中心とした興行主側は反対運動を展開。2016年8月には音楽関係の4団体が高額転売に反対する意見広告を新聞に掲載したことで、この問題に対する世間の認知は一気に高まった。
意見広告が一つの契機となり、高額転売に対する風当たりは日に日に強まっていった。転売目的でチケットを購入する業者に詐欺罪などの刑事罰が課される事例も出るようになり、その温床となっていたチケットキャンプに捜査当局が照会を行う件数も増していた。さらには、2020年開催の東京オリンピックに向け法規制の強化も検討されるようになった。
ミクシィ側も組織的な高額転売問題は認識しており、興行主側と協調して問題対処を行う姿勢を見せていた。しかし、協議は進まず具体的な対策は取られなかった。チケットキャンプ単独で対策を打つという手もあったが、本人確認や規制の強化を発表したのは意見広告から1年以上が経過した2017年12月に入ってからだ。
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