ベンツ「Gクラス」に見た“別世界” 「1000万円を切る」クリーンディーゼル仕様を追加
ベンツではSUV(スポーツ多目的車)の「Mクラス」(車両本体価格750万~1490万円)でもディーゼル仕様の「ML350BlueTEC」(790万円)を設定。左ハンドル仕様しかなかった旧モデルでは、ディーゼルエンジンの占める割合がMクラス全体の4割程度だったが、昨年(2012年)のモデルチェンジで右ハンドルとしたところ、「7割を占めるまでになった」(伊藤氏)という。Gクラスについても、クリーンディーゼルの追加が、顧客の関心を呼びそうだ。
ベンツ「Gクラス」は1979年に登場したモデルで、基本的なスタイリングや堅牢なボディを維持しながら、常に最適なパワートレイン(エンジンや変速機など)、最新装備を加えて進化を遂げてきた。険しい山道や深い雪道などの過酷な道に対応することから、レジャー用の乗用車としてだけでなく、世界の主要国の軍用車としても幅広く利用されている。
最新の「Gクラス」は昨年(2012年)8月に14年ぶりに大幅な商品改良を施し、フロントマスクや内装を一新。その日本仕様は排気量5500~6000ccのガソリンエンジンを搭載し、車両本体は1380万~3250万円で販売してきた超高級車。新モデルであるG350BlueTECは「1000万円を切った」(伊藤氏)価格設定が、Gクラスにとっての新しい展開となる。従来モデルは左ハンドルのみだったが、G350BlueTECは日本のユーザーを意識して、右ハンドルとした。
それでも一般サラリーマンには手が出ない
1000万円を若干下回るといっても、そもそも「絶対的」に、この価格帯では一般のサラリーマンはまず手が出ない。ターゲットはやはり富裕層だろう。では、超高級車のGクラスとして、「相対的」に、手頃な仕様を設定した狙いはどこにあるのか。
伊藤マネージャーは「客層を広げたいと考えている」と語る。「Gクラスを購入される方は、複数の高級車を保有されている方が多い。それも両極端で、通勤や仕事など平日はGクラス、休日はスポーツカーというお客様もいれば、逆に、休日のレジャー用にGクラスをお買い求めになる方もいる」(伊藤氏)。