新聞販売店が飲食店の出前まで始めたワケ

出前の配達シェアリングはどこまで広がるか

新聞販売店の中には出前館専用のバイクを別途購入する店もある(写真:夢の街創造委員会)

運ぶのが料理だけあって、普段新聞を配達しているバイクをそのまま使うことはできない。出前館専用のバイクを別途購入している店もあれば、新聞配達用のバイクに出前館オリジナルのボックスを取り付けるだけの対応にしている店もある。

 出前の配達スタッフは、実は新聞を配っているスタッフではなく、販売店側が別途アルバイトを募集している。条件はその販売店の近辺に居住し、その地域を知り尽くしていること。出前館は注文時に配達までの待ち時間も表示しており、配達スタッフが道に迷えば遅配が起きるからだ。

その意味では新聞の配達スタッフ自身が出前館の配達も手掛けたほうが確実ではあるものの、新聞配達のスタッフは新聞の配達時間帯以外の時間は学校に行っていたり別の仕事に就いていたりして必要人数が確保できない。新聞販売店自体に“土地勘”は蓄積しており、出前館がバイクに取り付け可能なポータブルナビゲーションも提供することで補完している。

出前の教育用スマホアプリも用意

シェアデリ向けにオリジナル容器を用意し、汁物のこぼれを防いでいる(写真:夢の街創造委員会)

料理の配達は難しそうだが、汁物はオリジナルの容器でこぼれを防ぎ、保冷・保温ボックスを使って傾きも最小限度にとどめられるようにした。配達先とのやり取りも含め、マニュアルや教育用のスマホアプリも用意、新たに参入する販売店には2週間の研修受講も義務づけている。

初期投資、アルバイトの募集、アルバイト料の支払いはいずれも販売店の負担だが、配達手数料は飲食店側の負担だ。シェアデリは1回の注文金額1500円以上で利用可能で、配達手数料は30円~注文金額の3割など、地域や店によってバラツキがある。配達手数料を負担する意思がない飲食店は加盟できない。

必要と思われる人数のアルバイトを雇い待機させていても、それに見合う注文が入らない、という事態がシェアデリ事業に参入する販売店にとっての最大のリスクだ。そのリスクを回避させているのが出前館に蓄積されたビッグデータだ。エリアごとに曜日や時間帯、天候に応じて、過去にどのくらいの注文が出たのかのデータを持っており、そこから配達に必要な人数を割り出している。

シェアデリのサービスエリアも厳選している。配達拠点を決める際は、月間の注文がコンスタントに450万円以上見込めるエリアを抽出。そのエリアの新聞販売店にシェアデリ業務を担えないか打診している。

シェアデリでは、想定以上に注文が入った場合に備え、新聞配達のスタッフをヘルプに入れる対応もしている。それでもキャパを超える場合は、ウェブに表示する配達までの待ち時間を延ばすことで注文数を調整している。どのくらい待ち時間を延ばすとどのくらい注文が減るのかも、過去のデータによって割り出せるそうだ。

次ページ部数減が新聞販売店をシェアデリ参入に後押し
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