トランプ外交が「北朝鮮の思惑通り」な理由 韓国の「北朝鮮研究」第一人者に聞く
羅教授:北朝鮮指導部にとっての脅威は国外ではなく、不満が高まる国内にある。指導部に対する不満が国民の間で高まるように、国際社会はもっていかなければならない。ワシントンは、できもしない攻撃を煽(あお)るのは自制しなければならない。国内向けに大義名分を与えることになる。トランプ大統領は、金正恩体制を利している。
日本に漂着する漁船の真相
ムーギー:最近、北朝鮮の漁船や遺体が漂着していますが、どうなっているのでしょうか? 食糧不足を穴埋めするために、農業のように時を待たなくてよく、すぐに食料を確保できる漁業が奨励されていると聞きますが。
羅教授:北朝鮮は資金に困って、近海の漁業権を中国に売ってしまった。だから危険を冒して遠方で漁をしている。北朝鮮の漁業は軍が管轄してはいるが、漂着している漁船は脱北者などではなく、単なる漁船だ。
あの遺体のことを思うと胸が痛む。朝鮮総連や民団はこういうとき、何かしないのだろうか。同じ民族の不遇な遺体が流れ着いているときに、引き取って供養しようという指導者でなければ、南北統一など成し遂げられない。
ムーギー:総連も、脱北者の身柄を引き取りに行ったりすると、当局に締め付けられそうで不安に思ってるんじゃないでしょうか。
羅教授:日本の一部のメディアで実は脱北者だなどという情報が流されているが、誤報も甚だしい。危険な漁で命を落とした不遇な漁民だ。遺体を引き取って供養する人がいないというのがあまりにも悲しい。
ムーギー:このように兵士の脱北や国内食糧事情の悪化が連日報道される中、北朝鮮指導部は結局のところ、何を企んでいるんでしょう。まさか本当に、大迷惑な“南朝鮮の解放”戦争とか本気で計画しているわけじゃないんですよね?
羅教授:北朝鮮は、本気で武力統一を狙っている。核開発の成功で、有事の際にアメリカが介入できないようにしている。そして韓国国内の新北勢力を使って、政権転覆、南北統一という戦略だ。北の指導部は、北が単独で生き残れないことをわかっている。南と一緒でなければ続かないと。
ムーギー:え、そうだったんですか。まさかそんな物騒なこと考えているとは、相当二流の闇にコロコロ転落した指導者ですね。
でも、アメリカの武力介入は本当にないのでしょうか。トランプは狂人を装っているのか、ガチで狂人なのか、ファジーな部分を創るのに成功しているからこそ、“マイクパフォーマンス”的な脅しもそれなりに効果があるのかな、とも思うのですが。
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