たった1通のメールが持つ訴訟リスクの現実 世界の司法の現場はデジタル化が進んでいる
最先端を走るアメリカでは、法律業務におけるリーガルテックの活用は、すでに主流になっています。それだけでなく、100万人といわれる弁護士たちが差別化を図るための武器として、リーガルテックのツールを選別するようになってきています。
リーガルテックを使わなければ法律業務はできない。これが世界の司法の現場なのです。ところが日本はというと、リーガルテックにおいては世界から大きく立ち遅れています。
「法律の作業現場をイメージしてください」というと、多くの人が分厚い法令集や積み上がった書類の山に埋もれる弁護士の姿をイメージするのではないでしょうか。そのイメージに該当するのは、日本の司法だけ。アメリカをはじめとする世界の司法の現場では、スッキリしたデスクの上に置かれたパソコン上で作業するデジタルデータの時代に移行しています。
人工知能(AI)で裁判の証拠を探し出す
すでにアメリカでは、大量のデジタルデータを解析し、必要な証拠を抽出・整理する作業はリーガルテックの専門家に依頼するのが主流です。
アメリカでリーガルテックが発達した背景にディスカバリ制度というものがあります。これは、訴えを起こしたのが個人であれ、企業であれ、裁判所が訴えを認めた時点で、原告と被告がそれぞれに訴訟に関連した証拠を収集し、開示し合う制度です。証拠は「誠実に、正確に、期限内に」が求められ、証拠の隠ぺいや遅延には非常に重い制裁が科せられます。リーガルテックは、この制度の下で進化しました。
そこで、リーガルテックを活用して、さまざまなフォーマットのデジタルデータを管理し、訴訟案件が発生したらデータを収集し、保全し、検索機能を使って必要なデータを抽出する。そして、定められた形式に沿ってレポートを作成し、印刷する。リーガルテックのeディスカバリ対応ツールは、プロセスすべてをカバーするものもあれば、プロセスの一部に特化したものもあります。
eディスカバリのソリューションを分類すると大きく3つに分かれます。
① すべてのデータを1つのシステムにまとめる
② キーワード検索を実行し、ターゲットデータに当たりをつける
③ プレディクティブ・テクノロジー(予測解析)を使って関連性のあるドキュメントを探し出す
なかでも、ここにきて進化が著しいのは、プレディクティブ・テクノロジー。人工知能(AI)の学習機能を活用して、短時間で特定のデータを抽出する機能の精度が格段に高まってきています。身近なところでは、アマゾンのリコメンド機能として活用されているものと同じような技術です。
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