トヨタとパナソニック、車載電池で提携検討 全固体電池でも協業の可能性を模索

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 12月13日、トヨタ自動車とパナソニックは、車載用角形電池事業について協業の可能性を検討することで合意したと発表した。トヨタだけでなく、広く自動車メーカーの電動車普及を目指し、協業内容を検討していく。写真は都内で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 13日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>とパナソニック<6752.T>は13日、車載用角形電池事業について協業の可能性を検討することで合意したと発表した。トヨタだけでなく、広く自動車メーカーの電動車普及を後押しするために、協業内容を検討していく。

会見したトヨタの豊田章男社長は「地球規模での課題を解決していくためには電動車をより一層普及させる必要がある」と指摘。ハイブリッド車(HV)などを含めた電動車の販売を2030年ころに全販売台数の50%程度まで引き上げる計画を明らかにした。

具体的には、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)で100万台、HVとプラグインハイブリッド車(PHV)で450万台、合計550万台の電動車販売を目指す。

同社の現在のHVとPHVの販売台数は147万台。豊田社長は「この台数を450万台にしようと言っていること自体、今までとは(違い)大きく舵を切っているということだ」と電動車普及への決意を示した。

全固体電池での協業も模索

協業内容は今後詰めるが、豊田社長は「車載用角形リチウム、全固体など次世代電池の取り組みに加え、電池の資源調達やリユース、リサイクルなどを含めて幅広く協業の内容を検討していく」と述べ、トヨタが2020年代前半の実用化をめざしている全固体電池でも協業の可能性を模索することを明らかにした。

全固体電池は液体を使わないため安全性が高いうえ、リチウムイオン電池の倍の容量があり、充電時間も短縮できることから、EV向け電池としての利用が期待されている。

パナソニックの津賀一宏社長は「そう簡単に全体が全固体電池にいくというものではない」としながらも「リチウムイオン電池に限界が来ることもわかっているので、その時期までには全固体電池へのシフトをしっかり実現できる準備はしたい」と語った。

パナソニックは米電気自動車大手テスラ<TSLA.O>と共同でリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」(ネバダ州)を運営するなど、車載向け電池事業を強化している。

津賀社長は「いまEVのナンバーワンの電池はわれわれの円筒形のもので、テスラに使ってもらっているが、将来はどこに伸びしろがあるか、既存のカーメーカーが欲しい電池が何かはまた別だ」と述べ、全方位での開発に意欲を示した。

豊田社長は協業について「両社にクローズすることなく、幅広く自動車メーカーの電動車普及に貢献していきたい」と語り、協業拡大に含みを持たせた。

トヨタは8月にマツダ<7261.T>と提携し、EV技術の共同開発で合意。9月にはデンソー<6902.T>も巻き込み、3社でEV技術の開発を手掛ける新会社「EVシー・エー・スピリット」を設立するなど、ここにきてEVへの対応を加速させている。

(志田義寧)

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