世界の独裁政権に共通するリーダーの挙動 国際社会から批判されても支持率高い国も

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アメリカのトランプ大統領にしても、自身が司会をしていたテレビプログラムの決め台詞、「You're fired!(オマエはクビだ)」を地で行くように、政権発足直後から自分の意に沿わない側近のクビを飛ばしてきた。トランプ政権とロシアの不透明な関係を捜査していたFBI(連邦捜査局)長官まで解任したおかげで、ロシア疑惑隠しとの批判が噴出し、政権の先行きに暗い影を落としている。

近頃は北朝鮮や中国のような独裁国家ばかりではなく、民主的な手続きでトップが選ばれている国においても一強独裁が目立つ。ロシアのプーチン大統領然り、トルコのエルドアン大統領然り、フィリピンのドゥテルテ大統領然り、皆、選挙で選ばれているのだ。

プーチン大統領の支持率が依然として90%近いのは、クリミア併合やウクライナ問題で経済制裁を科してきた欧米を向こうに回して大国ロシアの威厳を示しているからだ。

エルドアン大統領は自作自演のようなクーデター未遂事件の首謀者を宗教指導者フェトフッラー・ギュレン師とその支持者と決めつけて、ギュレン派を摘発一掃して独裁体制を強化している。国内の麻薬取引を撲滅すると公約に掲げて当選したドゥテルテ大統領は、「麻薬犯罪者は殺していい」という超過激な麻薬撲滅運動を展開、国際社会から非人道的と批判を浴びながらフィリピン国民からは80%近い支持を受けている。

戦後日本のリーダーとしてはやはり特異なタイプ

「国民の敵」をつくり出し、その敵と対峙する姿勢をアピールして熱狂的な支持を生み出していく。独裁的なリーダーの常套手段である。トランプ大統領も移民やマイノリティを敵視して「あいつらがアメリカ人の職を奪っている」と訴えて、白人労働者階級から熱狂的な支持を得た。

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大統領就任後は公約どおりにメキシコ国境の壁建設やイスラム教国からの入国を禁じる大統領令に署名しているが、議会と予算の関係で実行には移せていない。

トランプ大統領といえば、自分に都合の悪いニュースを報じる大手メディアを「フェイクニュース」と呼んで敵視している。批判的なメディアを嫌うのは権力者の常で、ロシアやトルコなら有無を言わさずに潰される。

批判的なメディアを敵視するのは安倍首相も同じだ。さらに言えば先の都議選の街頭応援で「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と絶叫、全国民の代表であるべきリーダーが「敵=こんな人たち」を指差して攻撃してみせた。

敵味方を選別し、自分を忖度してくれる側近で身の回りを固める。これは世界の独裁者と共通した挙動であり、安倍首相は戦後日本のリーダーとしてはやはり特異なタイプといえるだろう。

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