「ペッパー」開発者が古巣に突きつけた挑戦状 革新機構も出資、調達額は計約80億円に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
米国ロサンゼルスのスペースX本社前に掲げられた”mashi-mashi」の広告(写真:グルーブX)

マスク氏は来日するたびにお忍びで新宿・歌舞伎町のラーメン二郎に足を運ぶことで知られている。今年7月の来日の際にも同店を訪れ、自らのSNSに書き込むほどだ。グループXの広報担当者は「イーロン氏に気づいて欲しい一心で、あえて『mashi-mashi』と書いた」と言う。

創業者はトヨタの元エンジニア

グルーブXの林氏は、ペッパーの元開発リーダー。トヨタ自動車でF1の開発に若くして携わり、ソフトバンクに移った。同社の創業者・孫正義会長兼社長の後継者育成機関「アカデミア」の外部1期生となり、孫社長に見出されて、ペッパーの開発を任せられた。

林要代表は1973年、愛知県生まれ。中学生の頃、風の谷のナウシカの乗る「メーヴェ」(尾翼のない飛行装置)にあこがれて木製の模型飛行機を改造、自宅の2階から飛ばしていたそうだ(撮影:梅谷秀司)

だが、フランスのロボット開発子会社「アルデバラン・ロボティクス」(現在はソフトバンク・ロボティクスが吸収)への赴任を命じられると「現場から離れてしまうとペッパーの面倒を見られない」と悩み、独立を決意した。

日ごろ孫社長から「お前の情熱が足りないから、プロジェクトが動かないのだ!」と叱咤激励されていた林氏は、「外に出て大きくなってきます」と独立を告げると、「お前惜しいな。頑張れよ」と優しい言葉をかけられたという。林氏は2015年9月にソフトバンクを退職、同11月にグルーブXを立ち上げた。

古巣に”宣戦布告”したその日、グルーブXは未来創生ファンドと産業革新機構(以下INCJ)などに対して、総額68億5000万円の第三者割当増資を実施すると発表した。12月18日に未来創生ファンドとINCJに優先株をそれぞれ14億円割り当て、INCJはその後21億円を上限に追加出資も予定している。

これによりグルーブXの調達額は、累計で最大78億7000万円となる見込みだ。「100億円あれば量産化できる」と林氏が当初から言っていた資金水準にほぼ近づきつつある。新規資金も主に開発費に充てるという。

次ページ開発は計画通りに進んでいるというが・・・
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事