ロンドン地下鉄「駅ナカライブ」には掟がある 誰が自由に「腕自慢」をできるわけではない
音楽を邪魔に感じたとき、欧州の人々はどう対応しているか観察してみると面白いことがわかった。というのは、邪魔だなあと感じるときこそ、小銭を渡して「あっちへ行け」とそれとなく伝えている。「少々のおカネで快適性が確保できるなら、ちょっとばかり恵んでやれ」と考えているのかもしれない。
ロンドンでは、「ありがたくない地下鉄車内ミュージシャン」が生まれつつある。
同市の地下鉄は長い間、隣の車両とは行き来できない構造にあった。しかし、サークル線、ディストリクト線、メトロポリタン線そしてハマースミス&シティー線の計4路線には、日本の電車のように連結部で車両間を行き来できる新型車両が全面的に投入された。この結果、車内を行き来しながら演奏してひと稼ぎをねらう自称・演奏家(言い換えれば、無許可バスカー)がずいぶんと増えてしまった。
これらの車内での演奏は、ライセンスを持つバスカーにさえも認められていない行為なのだが、遵法への意識が弱い移民系の人々が車内を行ったり来たりしながらチップをねだるケースは最近になってとみに増加している。
「どうして誰も恵んでくれないのか」
ところが、利用者の多くは「この演奏行為はルール違反」と知っていることから、チップは誰ひとりとして渡そうとしない。たまたま演奏グループの1人が筆者の近くで「どうして誰も恵んでくれないのか? おかしいじゃないか?」と言い放ったのが聞こえたのはなんとも痛快だった。
日本ではあまり習慣がない、鉄道施設内の演奏行為。欧州ではプロ顔負けの達人もいて、旅の思い出に寄与することさえもある。一方で、ルールに従わないミュージシャンとのイタチごっこに悩む運営会社があることもまた事実だ。
しっかり管理すれば、「音楽が楽しめる鉄道」として名物にもなりうる。今のうちにガイドラインを定め、対応を吟味するのも悪くないと思うがいかがなものだろうか?
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