KDDIが英会話「イーオン」を買収した深い理由 3年でM&A5000億円を目指し次々と買収
一方で、KDDIが進めてきたのは、「非通信分野」の強化である。今回発表したイーオンだけではない。7月にはチケット販売最大手のぴあの株を買い増した。約30億円の追加出資で11%のぴあ株を保有し、創業者の矢内廣社長に次ぐ第2位株主となった。
11月17日には持分法適用会社、ライフネット生命の株買い増しも発表している。KDDIは保険販売を本格展開するに当たり、2015年にライフネットと業務・資本提携し、同社の筆頭株主となっていた。ライフネットの第4位株主、三井物産が手放す意向を示し、「出資比率を増やしたい」と常々思っていたKDDIが引き受けることとなった。買い増し額は17億円弱。KDDIの出資比率は15%から25%に高まる。
2000億円投じてもなお潤沢なキャッシュ
KDDIが非通信にこだわるのは、国内通信が長い目で見て成長分野とはなりにくいからだ。さらに、非通信拡大のM&Aは、通信で稼いだ巨額のキャッシュの使い道として練られた経営戦略でもある。実際、M&Aに2000億円を投じてきてもなお、KDDIには9月末で2753億円の現金や現金同等物がある。
中計を発表した2016年当時のKDDIは、アナリストなど市場関係者に「資金を有効活用できていないのではないか」と冷めた目で見られていた。「3年で5000億円では少額なので、結果的にキャッシュが増えてしまい、保有しているキャッシュの効率が良くならない」との批判は2016年当時からあった。
イーオンなど非通信分野が本当に成長分野となるのかは、まだ見えない。それでもM&Aに邁進する田中社長。KDDIに銀行や証券会社などの投資助言家が群がるなか、非通信分野での田中社長の選別眼がますます問われることになりそうだ。
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