ゾゾタウンが「採寸ボディスーツ」に託す狙い 前澤社長は「一家に一台の存在にする」と強調

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その一方で、前澤社長は「もっとスタイリッシュに格好よく着こなしていただけるような商品を提供し、ファッションを好きだと思う人を増やしたい。サイズが合っていてフィットしている洋服は、シルエット的にもきれいに見える」と強調する。

ここまでフィット感を追求するのは、試着が出来ないファッションECで、「サイズ」の問題が最大の壁とされてきた点が大きい。ネットで購入した服を実際に着てみると、サイズが合わずに返品せざるを得ないケースは珍しくない。同じファッションECでも、アマゾンジャパンは、自宅で気軽に試着する感覚で購入できるよう、30日間は返品無料とするなどの対策を講じている。

初めてのPB事業に不安も

11月末から投入するPB「ZOZO(ゾゾ)」のロゴ(写真:スタートトゥデイ)

スタートトゥデイの柱は一定量の在庫を委託形式で預かり、オンラインショップの運営管理を行う受託事業。そのためスタートトゥデイが出店ブランドの売れ残った在庫を抱えることはない。

PBの場合、商品が売れ残れば在庫の処分につながり、収益を圧迫する可能性がある。ゾゾスーツで寸法したデータに基づき、オーダーに応じて生産する体制を取るとすれば、大量在庫を抱える事態はまぬがれるかもしれない。とはいえ、これまで踏み込んだことのないPBだけに、経費コントロールや在庫管理を徹底できるかは未知数だ。

フィット感を追求した商品が、どこまで消費者の需要と合致するかも現時点では見通せない。あるアパレル企業幹部は「若い世代はサイズ感に対する好みも多様で、体にピッタリの服を求める人はそこまで多くない。ボディスーツで採寸するインパクトと宣伝効果は大きいが、PBの人気が持続するかは不透明だ」と語る。

「数年以内に現在のゾゾタウン事業の規模を超えるスケールにしたい」と意気込む前澤社長。最新技術を投入し、究極のフィット感を追求したPBは、どのような船出を迎えるのだろうか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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