復活シビック「予想裏切る好発進」が示す意味 「ホンダらしさ」の体現が呼んだ懐古と新鮮
さらにユーザー層を聞いてみると、独身男性と子離れした夫婦に二極化が進んでおり、3割が20〜30歳代という。少し前に記事を掲載したトヨタ自動車のピックアップトラック「ハイラックス」に似た状況だ。
なぜ新型シビックはこのような売れ方になったのか。ハッチバックとセダンをドライブした印象とともに報告していきたい。
最初に乗ったセダンは、ルーフからリアエンドにかけて緩いカーブでつなげた、ファストバックと呼ばれる流麗なプロポーションが特徴だ。ハッチバックかと勘違いするようなフォルムである。ボディサイズは全長4650mm、全幅1800mm、全高1415mmで、シビックとしては長く、セダンとしては低い。
室内に乗り込むとこの寸法の理由がわかった。前席のみならず後席も、スポーツカーのように低く、足を前に投げ出すようなスタイルで座るからだ。インパネも歩行者保護対策などで高くなりがちな最近のクルマとしてはかなり低い。しかし身長170cmの筆者であれば、後席で楽に足が組める。
1980〜1990年代のホンダ車が一気にフラッシュバック
3代目「ワンダーシビック」や5代目「スポーツシビック」、リトラクタブルヘッドランプを備えた「アコード・エアロデッキ」、デートカーという異名を取った2~3代目「プレリュード」など、1980〜1990年代のホンダ車が一気にフラッシュバックしてきた。
シビックらしからぬ長いボディは、現在の厳しい安全基準の中で、あの頃のホンダ車と同じ低くて広いキャビンを実現するためだったようだ。
あの時代をよく知るクルマ好きは、そろそろ子離れ世代に入っているはずだ。新型シビックを見て若い頃を思い出すかもしれない。一方で運転免許取り立ての若いユーザーは、背が高いミニバンやSUVを多く見ているためもあり、新型シビックのデザインは新鮮に映るだろう。これが先に紹介したユーザー層につながっているのではないかと思った。
1.5LターボエンジンとCVTの組み合わせはステップワゴンなどで試乗経験がある。フィーリングもステップワゴンと似ており、1700〜5500rpmという幅広い回転数で最大トルクを発生するので、エンジン回転が先に上がってあとから速度がついてくるというCVTの癖はほとんど感じない。
ただし、ステップワゴンでは静かで滑らかとしか感じなかった音は、あえて聞かせる設定にしているようで、加速時には軽やかなサウンドがキャビンに届く。この音もまた、1980年代のホンダ車を思わせる。
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