「神の雫」樹林伸氏が説くワイン会のススメ 異業種交流会に出るのは、ちょっと古い
樹林:まず、会のスタイルや狙いにもよるけど、一本一本を楽しむ会なら人数は6人がベストだね。なぜなら、ワイン1本(750ミリリットル)では6杯分が適量なので。8人でもいいけど、そうなると1本の割り当てが少なくなるので、できれば人数は6人までに抑えること。ワイン会は、大体1人につき1本ずつワインを持ち寄るので、8人集まればワインの本数は増えるけれども、やはり1本の割り当てが少なくなると、十分に味わえなくなるから、ちょっと不満が残ってしまうかもね。
あとは一緒に飲む仲間。さっきも言ったとおり、いろいろな集まり方がある。最近は「ワイン会」で検索すると、いろいろなワイン会の開催のお知らせがあるから、それをツテにして参加してみるのも1つの方法だけど、やっぱり気心が知れている者同士のほうが楽しめると思う。誰と飲むかは、ワイン会を成功させる要素として、とても大事です。
江連:ワイン会というと、下手に安いワインは持っていかないほうがいいと思ってしまうのですが。
樹林:それは気にする必要ないでしょう。値段の高いワインは、経済的にそれを出せる人が出せばいいだけの話です。実際、いろいろなワイン会を見ても、目玉として1万円くらいか、たまにそれ以上の高級ワインが1本あれば、残りは3000円程度のもので十分だし、さらに1000円くらいのワインがあってもいいと思う。
失敗ワインにぶつかってしまった場合には?
江連:風味が落ちてしまった「劣化ワイン」や失敗ワインにぶつかってしまったときは、どうやって場の雰囲気を切り替えるのですか。
樹林:これは、まあ、あるね。ただ劣化したワインも、抜栓してしばらく置いておくと、不死鳥のごとく、よみがえるケースがあるし(笑)。たとえよみがえらなくても、なぜ劣化したのか、なぜおいしくなかったのかを皆で話し合ったりすれば、それはそれで勉強になるし、楽しいでしょう。
江連:最近は、ニューワールド(米国やその他の国・地域)などのワインも勢力を伸ばしていますが、樹林さんにとって1番のワインって何ですか。
樹林:答え方が難しい質問だな~(笑)。日本のワインには日本のよさがあるし、カリフォルニアのワインにはカリフォルニアのよさがあるからね。ただ、ワインにも神が与えたもうた土地というのがあるような気はするね。
いわゆるテロワール(土地それぞれの、ブドウを取り巻くすべての生育環境の特徴)のことで、フランスのブドウ畑はいっさい、灌漑(かんがい)をしない。ところがニュージーランドやカリフォルニアに行くと、灌漑によってブドウを育てている。別に灌漑が悪いと言っているのではなくて、人工物を加えずに、自然な形で育ったワインのほうが、物語を紡ぎ出しやすいと思う。
江連:今までお話しいただいたような内容が、この『東京ワイン会ピープル』には盛り込まれているのですね。
樹林:そうだね。ワイン会は初心者の人でもハマること請け合います。でも、なかにはワイン会には出てみたいけど、ワインのことをまったく知らない状態で、いきなりワイン好きが集まっている会に出席するのは敷居が高いと考えている人も多いと思う。そんな人のためにもこの本を書いたので、ワインの知識がまったくなくても読み進めることができるし、読み終われば多少、ワインの知識が身に付くはずです。読んでいるうちに、きっとワインが飲みたくなると思いますよ。
(構成:福井 純)
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