「007」地下鉄アクション撮影の秘密を追え! ロンドンの「聖地巡礼」はこんなにスゴい

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見学当日は、まずチャーリング・クロス駅の待ち合わせ場所に集合。なんだか見覚えのある場所だと思ってみれば、その場所はちょうど映画の中で、敵役シルヴァが仲間から警官の衣装を受け取る、まさにその階段の下であった。

廃止で使われることがなくなった、ジュビリー線プラットホームへ通じるエスカレーター(筆者撮影)

安全反射ベストを手渡され、注意事項を確認の後、いよいよ探検ツアーがスタートする。ジュビリー線の旧ホームへは、同駅に乗り入れる路線のうち、ノーザン線のホームへ向かう途中の踊り場からさらに下へとエスカレーターが続いているのだが、もちろん現在は使われていないので、扉で閉鎖されている。その扉が開けられ、エスカレーターを下りていく。

もっとも、エスカレーターは稼働しているわけではないので、停止中のエスカレーターを歩いて下りなければならない。

停まったエスカレーターを下り、まずはジュビリー線の旧プラットホームに到着。筆者は廃止直前の1999年3月、まだ営業中だったこのプラットホームに降りたことがある。このプラットホームは現在使用されていないが、線路は本線とつながっているため、留置線や非常用の引き上げ線としては活用されていて、ちょうど「幻の新橋駅」として知られる東京メトロ銀座線の旧新橋駅と同じような状況といえる。

天井の鉄骨がむき出しのワケ

1999年から時は止まったまま。今にも列車が進入してきそうなプラットホーム。路線図を見ると、終点がチャーリング・クロス駅となっているのが分かる(筆者撮影)

ところで、この駅は営業していた当時からプラットホーム天井の鉄骨がむき出しとなっていて、お世辞にも見た目が良いとは言えなかった。間もなく廃止する駅だから簡素な造りなのだろうと、当時はあまり気にしていなかったのだが、実際には、かつては壁の色に合わせたパネルが天井まで設置されていたのだという。

1977年に完成したジュビリー線は、当時としては画期的な、明るくカラフルなプラスチック素材のパネルを駅の壁や天井に採用していた。たとえば、通常の壁はオレンジ色で、出口の部分は天井まで回り込んだ黄色いパネルとすることで、プラットホームのどの位置からでも出口を見つけやすいように、工夫されたデザインとなっていたのだ。

ところが、1987年にキングスクロス駅で発生した火災事故の教訓により、燃えやすい素材を地下で使用することは極力避けることとなった。プラスチック素材のパネルも危険性が高いということで、同じ構造を採用した駅はすべて不燃性のステンレス鋼材などへ変更されたが、ジュビリー線プラットホームは廃止されることがすでに決定していたため、大掛かりな改造はされず、鉄骨のままとされたのだ。

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