「007」地下鉄アクション撮影の秘密を追え! ロンドンの「聖地巡礼」はこんなにスゴい

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この鉄骨むき出しの天井は、映画の中でもその様子を確認することができる。だが、映画撮影時の痕跡はないかとプラットホームを端から端まで歩いて探してみたが、残念ながら残されているものはなかった。

その後、先ほど降りてきたのと反対側のエスカレーター乗り場に用意されたスクリーンで、この駅で撮影された映画のワンシーンが上映され、『007 スカイフォール』以外にも、クマのぬいぐるみで有名なパディントンや、サスペンス・アクション映画『ボーン・アルティメイタム』の撮影にも使われていたことが紹介された。この駅の利点は、まだ線路が本線と接続されているため、実物の車両を動かして撮影できる点で、007や『ボーン・アルティメイタム』においても、走行する列車のシーンが使われている。

ついに007の痕跡を発見!

ボンドとシルヴァが滑り降りてきたシーンで使われたエスカレーター。撮影のため、「立つ人は右側に」という表記や非常停止ボタンは撤去されている(筆者撮影)

ここに来て、ようやく少しだけ撮影時の痕跡を発見することができた。『スカイフォール』のアクションシーンの1つに、逃走するシルヴァとボンドが、地下鉄駅のエスカレーターの袖の部分を滑り降りるシーンがあるが、その撮影に使われたのが、スクリーンの背後にあるエスカレーターだったのだ。

ロンドン地下鉄のエスカレーター袖部分には、必ず「右側に立ってください(歩く人のために左側を空けてください)」という表示と、数メートルおきに非常ボタンが設置されているのだが、撮影のためにこれらはすべて撤去されていた。

エスカレーター踊り場の頭上に表記された映画用の乗り換え案内。映像の中で映るのは、ほんの一瞬のことだ(筆者撮影)

さらに、そのままエスカレーター最上部へと登っていくと、ガイドがこの頭上にある案内板を見てみろと言う。振り返って見上げると、そこには「District and Circle lines」の文字があった。両線はこの駅に乗り入れておらず、この案内板ははっきりと残る撮影時の痕跡である。ほかはすべて元通りに修復したが、ここは撮影が終わった後もそのまま残してあったのだ。映画で見ると、まさに一瞬映るだけの案内板で、細かい部分にまで気を遣って撮影していることがわかる部分だ。

この先はさらに狭い場所へ潜入するため、2班に分かれての見学となった。私たちの班が最初に向かったのは、この路線の建設時に土砂を運び出すトロッコ用として造られ、現在は換気用ダクトとして使用されているトンネルだ。ジュビリー線の廃止されたホームはロンドンの主要な通りであるストランド通りの直下に位置するが、ここには多くの路線バスが運行されていることに加え、道幅もそれほど広くないことから、道路に影響を与えない場所まで工事用のトンネルを掘り、そこから土砂を運び出すという方法が用いられたのだ。

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