日の丸ゲーム企業、バンクーバーに集う バンダイナムコ、DeNA、グリーなどが進出した事情
一次産業依存からの脱却を急ぐ
これほどまでバンクーバーに、今をときめくデジタルメディア関連企業が集まる理由は何か。それはひとえに、BC州が総力を上げて、企業の誘致を進めているからに他ならない。
バンクーバーは元々、天然ガスや石炭、木材など、天然資源が豊富な土地だ。太平洋に面し北米への陸路のアクセスが良いことから、貨物輸送拠点としても発展してきた。だが、「リーマンショック以降、米国の住宅景気が落ち込み林業が苦戦した。一次産業全体で従事者の高齢化も進んでおり、新しい産業を生み出す必要に迫られている」と、BC州政府日本担当シニアマネージャー兼国際投資・企業誘致担当の和田レスリー氏は話す。
そこで力を入れているのが、今後市場として成長が有望なデジタルメディア産業の育成というわけだ。税制面ではBCに常設事業所を持つデジタルメディア関連企業が支出する人件費のうち17.5%を税額から控除。その他税額控除や課税免除などの優遇制度が多数設けられている。
産官学の連携も積極的だ。各種教育機関や研究センターでは、デジタルメディアに特化した専門の教育プログラムを用意。象徴的な事例が「センター・フォー・デジタルメディア(CDM)」と呼ぶ大学院専門大学で、現地のブリティッシュ・コロンビア大学、サイモンフレーザー大学、エミリーカー美術デザイン大学、ブリティッシュ・コロンビア工科大学の4大学が共同で運営する。生徒がチームを作ってプロジェクトを進めていく実践的な教育プログラムで、CDMのキャンパスには、バンダイナムコスタジオのオフィスも置かれている。
こうした専門性の高い教育を受けることで、デジタルメディア産業に就職する学生は毎年3000人にも上るという。受け皿となる企業とそこに乗っかる人材が両方揃うことで、バンクーバーはデジタルメディアに強い都市としての知名度を年々高めていると言える。
では、実際にバンクーバーへ進出した企業は、どのような狙いを持ち、手応えをどれだけ感じているのか。東洋経済はバンクーバーで活動する複数の企業を取材した。その生の声を短期集中連載としてお届けする(第2回に続く)。
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