ギロッポンならぬ「マツロッポン」復活の軌跡

閑古鳥から急回復、福岡で最もアツい六本松

閑古鳥が鳴く街に希望を与えたのが、九大跡地の再開発構想だった。2014年、2万1000平方メートルの土地をJR九州が落札、商業施設や分譲マンションなどが入る2つの複合施設を建設する方針を明らかにしたのだ。

朗報に、地元の商店主たちは「あともうちょっと、がんばろう」と励まし合ったという。それからわずか3年後、六本松は「V字回復」を果たした。

地価は急騰、転勤族も注目

大島さんが持っている1965(昭和40)年の六本松周辺の地図。左下の広大な九州大の用地に比べ、そのほかの部分は住宅や店舗がぎっしり並んでいる

回復ぶりを如実に示すのが地価だ。福岡県が発表する基準地価(7月1日時点)で、六本松421に近い商業地(中央区六本松4-9-38)は、2011、12年に1平方メートルあたり41万4000円にまで落ち込んだが、2017年は59万円にまで上昇。同様に、住宅地(六本松4-5-18)も2010年には20万9000円だったのが、2017年には1.5倍近い30万2000円になった。

「注目も、実際のニーズも明らかに高まっている」。地元で25年前に開業した「さくら不動産」社長の田中雅将さん(64)はそう実感している。

学生が去った後、六本松では残されたアパートになかなか借り手が付かず、家賃が下がり続けた。例えば木造のワンルーム、20平方メートルほどの物件は、3万5千円でも借り手がない状態だったという。取り壊されたアパートは、コインパーキングなどに姿を変えた。

六本松にあった九州大教養部。手前は別府橋通り(1969年10月撮影)

田中さんは「そうした『眠らせるしかなかった』土地が、地価の上昇に伴って動き出した」と話す。地価上昇は、メーンの通りから奥に入った住宅地にも波及しており、六本松に隣接する中央区谷では、1坪40万円程度だった土地が2倍以上で取引される例もあるという。「過熱感さえ出ている」(田中さん)状況だ。

転勤族も、六本松に注目している。来春、福岡市に引っ越す予定だという都内のIT企業の男性社員(38)は「大濠公園にも徒歩で行けるし、今、一番注目の街だと聞いている」と、すでに物件の目星をつけている。

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