ギロッポンならぬ「マツロッポン」復活の軌跡 閑古鳥から急回復、福岡で最もアツい六本松
「へえ~。六本木(ギ)じゃなくて、六本松(マツ)なんだね」福岡を訪れた東京の人はよく、こういう反応を示す。
福岡市中央区六本松は今、人口150万人を突破した福岡市の中でも「最も熱い街」と言っていいだろう。東京風の俗語で言えば「ギロッポン」ならぬ「マツロッポン」だ。もともと街のシンボルだった九州大学のキャンパスは8年前に移転、景気低迷も相まって「冬の時代」が続いていたが、今年9月に再開発の核となる複合施設が誕生。転勤族の注目も高まりつつある。
年間360万人の来館目指す
「わあ、こんなに並ぶの」。ある金曜日の午後、福岡市営地下鉄六本松駅を降りた家族連れが、驚きの声を上げていた。地上に出る階段の途中に<最後尾>と書かれたプラカードを持った係員がいたからだ。お目当ては、開業間もない福岡市科学館。「きょうはまだましな方ですよ」。係員の言葉に家族連れは「じゃあ仕方ないね」と列に加わった。
地上には、長年親しまれた古びたキャンパスがあったかつての六本松とはまったく異なる風景が広がっている。目に飛び込んできたのは、レンガ色と白の格子柄がモダンでアカデミックなムードを醸し出す建物。九州最大級のプラネタリウムを備える科学館を核にした複合ビル「六本松421」だ。六本松4丁目2番1号という住所から名付けられたというそのビル名ひとつとっても、斬新さを感じる。