新iPhoneは、密輸業者への「挑戦状」 廉価版投入でアップルが狙うこと

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9月11日、米アップルがスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新型2モデルを米中2カ国で同時発売することは、中国のファンにとっては喜ばしいことだが、密輸業者には打撃を与えることになりそうだ。広東省深セン市の非正規店で9日撮影(2013年 ロイター/Bobby Yip)

[香港 11日 ロイター] - 米アップルがスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の新型2モデルを米中2カ国で同時発売することは、中国のファンにとっては喜ばしいことだが、密輸業者には打撃を与えることになりそうだ。

香港から中国本土へ密輸される「闇市場」は年間数十億ドル規模とされており、過去アップルが新製品を発売した際には、本土で正式に販売される数カ月前にすでに密輸品が出回っていた。

アップルと世界最大の携帯電話事業者である中国移動(チャイナ・モバイル)<0941.HK>は提携を発表するとみられているが、もしそれが実現すれば、密輸業者に追い打ちをかけることになるだろう。

現在、中国でiPhoneの販売契約を結んでいるのは中国連合通信<0762.HK>と中国電信<0728.HK>で、契約者数は計2億6600万人だが、中国移動は7億4000万人を超えるため、密輸業者がさらに打撃を受ける可能性がある。

「もちろんある程度は、われわれのビジネスに影響が出るだろう。正規の店舗で買えるようになれば、誰も闇市場で手に入れようとは思わないはずだ」。初代iPhoneが2007年に発売されて以降、広東省深セン市で香港から密輸した製品を販売してきた店主はこう漏らす。その一方で、「それでも価格ではわれわれに分がある。われわれの設定価格は正規品よりも低くなるだろうし、消費者は常に安さを求めているからだ」と強気な姿勢も隠さない。

アップルが香港と台湾を含めたグレーターチャイナ(大中華圏)での売り上げ不振に取り組む一方、韓国のサムスン電子<005930.KS>は幅広い価格帯の新製品を相次いで投入している。

iPhone5が昨年9月に発売された際、中国当局はアップルストアでの販売だけを認めていた。12月には再販業者への許可も下りたが、このタイムラグによって密輸業者らは熱烈なファンに製品を販売することができた。

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