ヤマトが強気値上げ、ネット通販業者の苦悩 配送量も抑制、ドライバーの働き方改革急ぐ
苦しくなるのは、他社との熾烈な価格競争で消耗しているEC事業者だ。東京に拠点を置くある物流の一括請負業者の元には、配送コストを少しでも抑えたい業者が駆け込んでくるという。同社社長は、「ヤマトの値上げ要請はとにかく強気だ。3〜4割はざらで2倍を超えるところもある」と明かす。
ヤマトが要求する値上げ幅が、顧客によって大きく異なるのはなぜか。ヤマトはかつて大口顧客に対し、荷物のサイズや距離にかかわらず大幅な割引を実施した。
2013年に起きたクール宅急便の品質問題を契機に「運賃の適正収受」を進めたが、「一部の顧客は値上げに応じなかった」(通販大手幹部)。こうした顧客に対し、値上げを迫る狙いがある。ただ、「2〜3年をかけて引き上げるようだ」(同)。
ヤマトの値上げ影響がじわり広がる
通販大手のベルーナは、従来は5000円未満の注文で390円としていた送料を10月1日から490円に引き上げた。同社の通販事業は増収の一方、コスト削減を進めても、前期比で約9%の減益見通しだ。
宅配クリーニングを手掛けるリネットは、ワイシャツの畳み仕上げの料金を290円から390円に値上げするなど、大半の料金を引き上げた。「配送の質を維持するうえではヤマトの代わりが見つからない」と、運営会社ホワイトプラスの森谷光雄取締役は話す。
ヤマトが荷主に求めているのは、値上げだけではない。荷物の受け入れ量を抑制する「総量規制」もだ。ヤマトは、2017〜18年度の2年間で宅配便の配達個数を2016年度比で約1億個減らす計画で、配送現場の負担軽減を急ぐ。
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