シリア危機で高まる、”石油”への注目

投資戦略、米緩和縮小で困難に

不確実性

過去10日間で、STOXX欧州石油・ガス株指数<.SXEP>は、STOXX欧州600指数<.STOXX>を約5%アウトパフォームし、多くの機関が石油・ガスセクターを「買い」推奨とした。ただ、上げ幅はまだ小幅にとどまっている。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントの英国株シニアファンドマネジャー、デレク・ミッチェル氏は「(シリアの状況は)恐ろしい人道上の惨劇だが、市場はこの話をまだ深刻には受け止めていない」と指摘する。

為替市場では、カナダドルとノルウェークローネが対円で上昇している。カナダとノルウェーは原油価格の大幅上昇の恩恵を受ける産油国である一方、日本は最大の原油輸入国の一つとして価格上昇の打撃を受けることになる。

1991年と2003年の米主導の対イラク戦争では、両ケースともに開戦前に世界の株価<.MIWD00000PUS>は下落したが、戦争の影響範囲が明らかになった後は上昇に転じた。

現在の主な懸念は、米国がシリア攻撃を開始した場合、シリアの同盟国であるイランが戦闘に加わるかという点だ。そうなれば、地域全体に戦火が広がり、深刻な原油供給問題が引き起こされる。また、今回の危機が、米国の行動に反対したロシア・中国と米国との関係にどう影響するかも懸念されている。

2011年のリビア内戦や1999年のコソボ紛争など、過去のより小規模な戦闘では、状況が緊迫するにつれて市場のボラティリティは高まったものの、株式や他の金融市場への影響は限定されていた。

ABNアムロのディディエ・デュレ最高投資責任者(CIO)は今回のシリア危機について、自身の基本シナリオでは市場にとって「短期の混乱」に終わり、世界経済の回復を妨げない、と説明した。

流動性高い資産を選好

2008年の金融危機では、多くの投資家が価値が減少する保有資産を容易に手放せない事態に陥った。今回は、たとえ債券保有によって短期的に損失を被るとしても、投資家は流動性の高い資産を選好する可能性が高い。

「2008年の危機は間違いなく、本当に流動性があるものと、そうでないものについて、それまでと異なる見方をもたらした」と、ボストンを拠点とする資産運用規模220億ドルのルーミス・セイルズ・ボンド・ファンドのマット・イーガン氏は語る。同氏は「われわれはシリア問題を懸念しているが、正直に言うと、このような事態に際し、準備できることはあまりない」とし、「われわれは概して米国債が好きではないが、債券の世界では最も流動性の高い商品の1つでもある」と述べた。

さらに、カナダやノルウェーなど最高格付けを付与されている他の国が米国債に代わる投資先を提供しているとの指摘もある。

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