京急「赤い2階建て」は、三浦半島観光の目玉だ 「まぐろきっぷ」とともに活性化の起爆剤に

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バスはもともとオープントップ形の中古車で、「2100形仕様」への改装は、電車やバスなどの検査や修理を手掛けるグループ会社「京急ファインテック」の金沢事業所(横浜市金沢区)で約3カ月かけて行ったという。

電車そっくりの塗装は、電車用の色見本を基にバス用の塗料を調色。赤い部分はすべて塗装、白い部分は大半がラッピングで一部を塗装している。通常、塗料の色とラッピングフィルムの色をそろえるのは困難だというが、「白の色味を合わせるために約150色の(ラッピングの)サンプルを作成し、色合わせも5回行った」と、京急ファインテックの担当者はそのこだわりを語る。

オープントップの2階席。窓下の銀色の部分は金属製の部材ではなく、わざわざステッカーで電車の窓枠を再現した(記者撮影)

車内も2100形をイメージしており、運行時には補助席となる1階のシートは電車の座席と同じ青地に赤い水玉模様の生地に張り替えた。2階席も模様こそ異なるが、青と赤のカラーリングに変更。壁も2100形をイメージしたベージュ色のラッピングを施しているほか、一見すると金属製の窓枠に見える窓下の銀色の部分も「2100形(の窓枠部分)に極力近づけるために銀色のステッカーを張った」という凝りようだ。

ステッカーまでそっくりに…

1階席のシートは2100形電車と同じ生地で張り替えた(記者撮影)

さらに、電車の車内に貼られている座席番号のステッカーや、車両番号とメーカー名などを記した「車号銘版」も、このバスに合わせた内容で再現。「自撮り棒」の使用禁止を告知するステッカーは「電車内の『リュックは前に』のステッカーのイメージで新たにデザインした」という。

バスは京急電鉄が保有し、運行はグループの京浜急行バスが担う予定。京急では現在、三浦半島で遊覧バスなどは運行していないというが、今回の2階建てオープントップバスの導入によって「京急沿線外にも幅広くアピールし、観光活性化の起爆剤にしたい」という。

「鉄道やバスが好きな人にも楽しんでいただける『自信作』。ぜひいろいろな方に乗っていただきたい」と京急ファインテックの担当者。実は車体の4カ所に小さな「けいきゅん」のステッカーが貼られているといい、「これもぜひ探してみてください」。赤い2階建てオープンバスは観光客の人気を呼びそうだ。

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