48年前のフェラーリが2.3億円で売れた理由

ホコリだらけのスーパーカーが持つ希少価値

まとめれば、今回出品されたデイトナが高く評価された理由は3つある。

① 人気のデイトナの中でもさらに希少なアルミボディを持つ
② 有名自動車雑誌のオーナーに納車された(彼はエンツォ・フェラーリの親友でもあったそうだ)
③ 40年余り外界から遮断されて存在した証拠である汚れを持った「納屋物」である
汚れを取ったら、その価値も減ってしまう!©2017 Courtesy of RM Sotheby's

そこで、オークションハウスも、この情報を世界に配信して、今回のオークションの話題を高めるためのツールとして活用したのだ。それにしても担当者は運搬には気を使ったであろう。もしも関係者が“気を使って”、きれいにホコリを拭いてしまったら元も子もない。汚れを取ったら、その価値も減ってしまうのだから。

クラシックカーにこそ必要な3要素

拙著『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』でも詳しく解説しているが、フェラーリのようなラグジュアリーブランドをつくるためには、「独自性と持続性」「希少性」「伝説」という3要素が必要だ。

こういったクラシックカーにこそこの3要素が当てはまる。「独自性と持続性」を最重視するフェラーリというブランドの生み出したクラシックカーに「希少性」「伝説」がたっぷりと付加されるのだから、鬼に金棒だ。

オークションのスタートとともに金額は急上昇(筆者撮影)

さて、実際にオークション会場でこの個体はどのように評価されたのだろうか。ビッド(入札)前にクルマをじっくりと観察できるプレビューにおいてこのデイトナを眺めてみたが、新車同様のピカピカの状態を目指して復元する「レストア」には相当な金額がかかるだろうと私は踏んだが、実際のオークションではスタートとともに金額は急上昇した。5万円ほどの入場料を払って、会場内でビッドするだけでなく、今回は電話を使って会場外からビッドする参加者も多かった。あっという間に1億円を突破。最終金額の180万ユーロ(約2億3300万円)は、デイトナのオークションにおける最高落札記録を更新した。

デイトナのオークションにおける最高落札記録を更新した(筆者撮影)
次ページ「納屋物」はどのように楽しむのか?
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 今見るべきネット配信番組
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • インフレが日本を救う
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT