まとめれば、今回出品されたデイトナが高く評価された理由は3つある。
② 有名自動車雑誌のオーナーに納車された(彼はエンツォ・フェラーリの親友でもあったそうだ)
③ 40年余り外界から遮断されて存在した証拠である汚れを持った「納屋物」である
そこで、オークションハウスも、この情報を世界に配信して、今回のオークションの話題を高めるためのツールとして活用したのだ。それにしても担当者は運搬には気を使ったであろう。もしも関係者が“気を使って”、きれいにホコリを拭いてしまったら元も子もない。汚れを取ったら、その価値も減ってしまうのだから。
クラシックカーにこそ必要な3要素
拙著『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』でも詳しく解説しているが、フェラーリのようなラグジュアリーブランドをつくるためには、「独自性と持続性」「希少性」「伝説」という3要素が必要だ。
こういったクラシックカーにこそこの3要素が当てはまる。「独自性と持続性」を最重視するフェラーリというブランドの生み出したクラシックカーに「希少性」「伝説」がたっぷりと付加されるのだから、鬼に金棒だ。
さて、実際にオークション会場でこの個体はどのように評価されたのだろうか。ビッド(入札)前にクルマをじっくりと観察できるプレビューにおいてこのデイトナを眺めてみたが、新車同様のピカピカの状態を目指して復元する「レストア」には相当な金額がかかるだろうと私は踏んだが、実際のオークションではスタートとともに金額は急上昇した。5万円ほどの入場料を払って、会場内でビッドするだけでなく、今回は電話を使って会場外からビッドする参加者も多かった。あっという間に1億円を突破。最終金額の180万ユーロ(約2億3300万円)は、デイトナのオークションにおける最高落札記録を更新した。
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