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米国による「北朝鮮先制攻撃」は藻屑と消えた もはや「レッドライン」は存在していない

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  • 高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
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北朝鮮への先制攻撃の可能性が大きく取りざたされた4月中旬、当時のショーン・スパイサー米大統領報道官は「レッドラインについて明確に示す考えはない」と述べた。レッドラインを下手に公表し、北朝鮮がそれを越える行動を起こした時のリスクを考慮したためとみられる。実際、トランプ政権が北によるICBM発射実験や核実験を公にレッドラインとして示していたならば、トランプ大統領の威信失墜をはじめ、今よりもさらに深刻なダメージを受けていただろう。

米国のレッドラインを考えるうえで興味深いトランプ政権高官へのインタビューがあった。米中央情報局(CIA)のマイク・ポンペオ長官は8月13日、米テレビCBSの番組で、トランプ政権がレッドラインを設けたかどうかを問われると、「この政権は、実行する準備もできていないようなレッドラインを設けないことで立派に仕事をこなしている」と述べた。つまり、実行できる限りのレッドラインしか設けないということだ。

そのうえで、ポンペオ長官は次のように述べた。

「米国を危険にさらす」との表現がキーワード

「(大統領が)これまで明確にしてきたのは、金正恩のようなならず者の指導者が米国に完全に届き、米国と世界を危険にさらすような弾頭搭載の弾道ミサイルを保有することが認められないということだ」

「私たちは金正恩に、核弾頭搭載のICBMで米国を危険にさらす能力を保有させることはできない。この使命こそが、大統領が自らの国家安全保障チームに与えたものだ。ミサイル防衛に加え、これこそが大統領が自らのチームに課した」

外交問題を専門とするオンラインマガジン「ザ・ディプロマット」編集者のアンキット・パンダ氏は、上記の米国に「完全に」届くとの表現をレッドラインに入れた背景には、この番組の前月7月に発射された北朝鮮のICBM2発の射程が米国全域にはいまだ至っていないというCIA当局の分析をふまえたものだと指摘している。

さらに「米国を危険にさらす」との表現がキーワードだとし、米国のレッドラインは、既に実現をしてしまった金正恩委員長によるICBM保有から、米国を危険にさらせないようミサイル防衛で守ることにおそらくはシフトしたと指摘している。つまり、北朝鮮を核保有国として認め、ミサイル防衛に注力をせざるを得なくなるとの見方だ。

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