中学教師の何とも過酷で報われない労働現場 部活に追い詰められ、過労死ライン超が6割

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部活動問題で深刻なのは長時間労働の一因になったり、休みが取れなかったりすることだけでない。「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)によって、時間外勤務手当や休日給は支給されないこととなっている。教員には学校外の教育活動や夏休みなど長期の学校休業期間などがあり、また「勤務時間の管理が困難」という理由から。その代わりに給料月額4%分の教職調整額が支給されている。

ただし、休日の部活動には手当が出る。たとえば東京都の場合、市区町村によって多少の違いはあるが平日の手当はなく、休日は4時間以上で4000円だ。ところが、それ以上は出ない。携帯電話の定額プランのようなもので、休日に6時間あるいは8時間活動しても手当は一律4000円。これは労働法規に照らせば大きな問題だ。たとえば、休日の部活指導が5時間に及んだ場合、時給は800円相当。東京都なら最低賃金932円を割り込んでしまう計算だ。学校外に練習試合に出掛けた場合の交通費も支給されない。

部活動が大変な理由として教員がよく言うのは、「未経験の競技は教えられなくて苦しい」というものだ。顧問をする部活動について希望は出せるが、たいてい希望どおりにはならず、空きのあるものに割り振られる。

日本体育協会の調査によると、半数以上の教員は未経験の競技の顧問をしている。専門知識がない中での指導は、生徒にとっても競技の基礎が学べず、ケガにつながるおそれもある。それでも顧問になったからには「生徒のためにできることはしたい」と、ルールや競技の基礎が解説されているDVDを見て勉強したり、スポーツクラブや地域のチームに入って習ったりする教員がいる。これらの費用は自腹だ。

強制的に部活動の顧問を持たせるのは大きな問題

教師の労働環境は過酷を極めている(写真:kou / PIXTA)

部活動は本来、自主的・自発的活動だ。中学校の学習指導要領には、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動」とあるのみで、明確な規定や詳細はない。生徒や保護者からは学校教育の一貫として授業や学校行事と同等にみられているが、希望しない教員にも半ば強制的に部活動の顧問をさせるのは大きな問題だ。

教員の負担軽減のための施策案はいくつかある。『ブラック部活動』の著者で名古屋大学大学院准教授の内田良氏が提案するのは総量規制だ。

「部活動は週3日ぐらいの緩い、大人の草野球のようなものにする。本来部活動は20代、30代、あるいは60代になっても続けられるような趣味としてのスポーツや文化活動につなげていく、その土台を作るもの。全国大会に行かなくても、近所で数カ月に1回試合をして、勝っても負けても『楽しかった』といえる設計が必要だ。頂点を目指すのは民間クラブチームなどに任せればいい」(内田准教授)

部活動問題に詳しい学習院大学の長沼豊教授は、「まずは休養日を全国一斉に設けること」という。やりたい教員も含めて制限をかけて負担を軽減したうえで、外部指導員の導入や授業と部活のうまいすみ分けなどを検討していけばいいという。

教員の過重負担を考えると改革は待ったなし。問題をあぶり出し、早急に解決策を打つことが重要だ。

『週刊東洋経済』9月11日発売号(9月16日号)の特集は「学校が壊れる 学校は完全なブラック職場だ」です。 
富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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