証券マンが消えた「兜町」は生まれ変われるか 証券取引所の大家さんがついに再開発を始動

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大阪の北浜や名古屋の栄では、かつての証券マンの多くが街から姿を消していった。人の往来を取り戻すため、北浜ではホテルやタワーマンション、栄では1階に高級ブランドショップが入ったビルなどが開発され、各地で昔あった「証券街」の街並みは失われつつある。

とはいえ、兜町には日本の株式市場の中心である東証のほか、証券関連の業界団体が現在も複数集まる。日本橋に本店を置く日本銀行や、金融機関が集積する大手町に近接するのも強みだ。

東京駅日本橋口前では「丸の内の大家さん」と称される三菱地所が複合再開発プロジェクトに着手。高さ約390メートルの超高層ビルが2027年度に完成すれば、現時点で高さ日本一のビル「あべのハルカス」(大阪市、高さ300メートル)を抜くことになる。

国際金融都市構想が再開発を後押し

東京都心では近年、都が推進する国際金融都市構想が再開発の追い風になっている。この風に乗れば、かつての活気ある証券街に再生できるのではないか。こう考えた平和不動産は兜町の再開発の旗振り役を買って出た。

平成通りを挟んだ向かいの大型ビル(右)も高層ビルに建て替えられる予定(記者撮影)

再開発の第1ステージでは平成通りを挟んで向かいの大型ビルも高層ビルに建て替えられる予定だ。「(新設される)両方のビルで、投資家との交流あるいは資産運用(を行う企業の支援)という機能を用意したい」(平和不動産の岩熊社長)。詳細は発表されていないが、金融ベンチャー企業を支援するスペースが盛り込まれることとなりそうだ。

また、再開発の第2ステージとして、2024年度以降には東京証券会館などの街区も開発し、国内外の金融人材を積極的に受け入れられるよう、ホテルなどの宿泊施設を整備する構想も計画されている。

多少の年月はかかるものの、兜町周辺の街並みは段階的に様変わりしていく見通しだ。国内随一の証券街として活気を取り戻し、兜町は全国、そして海外からも証券・金融取引を行う人々が集まる新たな拠点となれるか。「証券取引所の大家さん」の胆力が試される。

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