車掌なりきり「京急カラオケルーム」の本気度 車内を再現した室内で「ドアを閉めまーす」

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こうして生まれた「京急電鉄カラオケルーム」は、京急の監修により車内をリアルに再現した内装が売りだ。

「リアル運転士・車掌体感ルーム」では運転台を再現している(筆者撮影)

部屋は2つあり、ひとつは「リアル運転士・車掌体感ルーム」。この部屋は、映像や歌詞を映す液晶画面に加え、左右の壁面には京急沿線の車窓風景をプロジェクターによって映し出している。席はソファではなく実物のロングシートで、室内には運転台を再現し、実物の車掌マイクも設置。スピーカーも実際の車両に使われていたものを使用している。これらの部品類は、廃車になった2000形から取り外したものだ。「やるからにはとことん実物を追求したいという気持ちで協力させてもらった」と京急電鉄広報部の担当者。定員は12人と多めで、筆者が歌ったのもこの部屋だ。

もうひとつの部屋は、「KEIKYU車内体感ルーム」。こちらはその名のとおり車内を再現した部屋で、車掌マイクやスピーカーに加えて網棚や吊り革、4人分のクロスシートを設置。このほか、室内のショーケースに実物車両の部品も数多く展示している。京急はこのために、140ものパーツを提供したという。そのうち、使用されたのは54点。「(通常であれば)触れない部品を触れるのが魅力です」と京急の広報担当者は言う。

駅弁やドリンクも人気

「京急電鉄カラオケルーム」は、7月のオープン以来非常に好評を博しており、すでに400件もの予約で埋まっているという。利用者は鉄道ファンの大人だけではなく、子ども連れも多いとのことだ。「小さな子どもが大きな声で歌い、字が読めない子も内容を暗記して歌っている」とスタンダードの尾崎さん。このカラオケルームに合わせて作られたオリジナル駅弁や、京急の人気車両カラーに合わせたオリジナルドリンクの販売も好調で、コスプレグッズの貸し出しでは帽子が人気だという。

京急といえば、数ある鉄道路線の中でも鉄道ファンや沿線住民に愛される鉄道として知られる。その京急が「本気」で監修した鉄道カラオケ、そして「京急電鉄カラオケルーム」は、多くの鉄道ファンの心を躍らせるとともに、鉄道というコンテンツの可能性をも示しているといえそうだ。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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