「解散望む与野党勢力」Vs「解散権封印で生き延びようとする首相」

「解散望む与野党勢力」Vs「解散権封印で生き延びようとする首相」

塩田潮

 臨時国会は「9月中旬召集」と決まったが、召集日と会期幅が決まらない。
 8月21日の午後、取材のため、国会内の民主党控え室に山岡賢次国対委員長を訪ねたが、「与党の方針が決まらないから待たされているんだよ」と笑いながら語った。決まらないのは臨時国会の設定が解散・総選挙と密接に関係するからだ。

 先の内閣改造で福田首相から麻生幹事長への政権禅譲密約説が飛び出した。密約の有無とは別に、衆議院の解散問題と絡んで、首相が改造劇の一場面で「私に解散しろと言うのか」と漏らしたという話が伝わってきた。それが本当なら、首相には解散を行う意思はないことになる。であれば、解散しないまま退陣し、総選挙は後継首相に託するのでは、と後釜狙いの麻生陣営は期待を寄せる。

 他方、解散に消極的な首相も、早期解散論に傾斜する公明党など与党の圧力に屈して、最後はしぶしぶ解散権を行使すると見る人もいる。山岡氏はこの説に立ち、ずはり「11月23日か12月7日の投票」と予想を口にした。それ以外に、解散の意思なしという点について、首相に近い衛藤征士郎元防衛庁長官は、福田首相が「解散なしの総選挙」、つまり任期満了選挙を想定していると読む。

 いつの時代でも、解散権は首相の最大の武器だが、もしかすると、今回は「解散をさせたい与野党の勢力」対「解散権封印という奇策で生き延びようとする首相」という過去に例のない攻防戦になるかもしれない。投げ出し辞任もせず、解散権も行使しない首相に対して、実は与野党とも辞任や解散を強要する決定的なカードの持ち合わせはない。実際は不本意解散や投げ出し辞任の可能性が高いと見られるが、国民が超低支持率というパンチを食わせない限り、福田首相が任期満了まで政権に座り続ける展開もないとはいえない。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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