トヨタの10代目「カムリ」乗ってわかった実力 基本から大刷新、不遇のセダン市場へ挑む
試乗ステージとなった千葉の郊外では、アメリカのハイウェーにありそうな荒れた道が続いていて、いわゆるNVH(騒音・振動・乗り心地)のテストにはちょうどいい。特に、ハンドルを切りながら段差を越えるようなシーンにおいて、頼もしさを感じるようになった。もちろん、北米での仮想敵と目されるシボレー「マリブ」なども、以前のもっさりした乗り味から脱却して、しゃきっと味付けになっているから、「カムリ」が新型になるにあたっては、アメリカにおける中型セダンへの好みの変化も意識して、開発に反映されているに違いない。
「年間100万~200万台も生産する重要なプラットフォームを、いちから作り直す好機でした。メンバーを外側に広げて、超ハイテン鋼やホットスタンプ材などの高い強度を持つ素材を採用して、衝突時のキャビンの変形を抑えるなど、大幅に安全性を向上させています。タワーバーなどを採用して、ボディ開口部に環状構造を取り入れて、横方向の剛性を30%も高めています」と、シャシー設計を担当した本間裕二さんは言う。
さらに、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「セーフティセンスP」を搭載することで、現代的な先進運転支援システムを完備している。具体的には、自動ブレーキによって時速30km以下の衝突を回避する「プリクラッシュセーフティ」、車線からの逸脱を操舵まで行って防止する「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付き)」、単眼カメラによって周囲の状況を検知して、ロー/ハイビームを自動で調整する「オートマチックハイビーム」、ミリ波レーダーを使って前車との距離を測って全車速で追従する「レーザークルーズコントロール(ブレーキ制御付き/全車速追従機能付き)」を備える。
30km/Lを超える低燃費と圧倒的な加速の両立
「エコモード」で粛々と走るのもトヨタのハイブリッド車らしいが、高速道路の合流でアクセルを深く踏み込むようなシーンでは、「スポーツモード」に切り替えると、余裕のある加速を生む。178馬力(ps)/221Nmを発生する2.5リッター4気筒エンジンに、88kW/202Nmを生む電気モーターを組み合わせて、システム出力で211馬力(ps)を発生する。
ハイブリッド機構全体での燃費は、ガソリン1リットル当たり28.4~33.4km(km/L)と、先代の23.5~25.4km/Lと比較しても、格段に低燃費化されている。一方で、早朝にゴルフに出かけるといったシーンでは、EVモードに切り替えて走ることができるから、エンジンのアイドリング音によって近隣に迷惑をかける心配もない。
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