トヨタがマツダに5%出資、米新工場建設も 来るべきEVシフト時代に向けた布石に

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 8月4日、トヨタ自動車とマツダは米国で折半出資の完成車合弁工場の建設を検討することなどを柱とする業務資本提携を正式発表した。写真は共同記者会見で握手を交わすトヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 4日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>とマツダ<7261.T>は4日、米国で折半出資の新工場を建設することなどを柱とする業務資本提携を正式発表した。世界的に普及の機運が高まる電気自動車(EV)の共同開発、先進安全技術やコネクテッドカー(インターネットに常時つながる車)などでの協業も進める。

両社は米国に総額約1760億円を投じ、生産能力約30万台の完成車組み立て工場を建設する。4000人規模を雇用し、2021年の稼働を目指す。新工場でマツダは北米向けに新たに導入するクロスオーバー車を、トヨタは北米向け「カローラ」を生産する予定で、それぞれ15万台の生産能力とする。同日会見した豊田章男社長は、将来的には「EVの生産も検討する可能性がある」と述べた。

トヨタは19年の稼働に向けて建設中のメキシコ・グアナファト工場で当初、北米向けカローラを生産する予定だったが、今回の両社の合意を受けてピックアップトラック「タコマ」の生産に変更する。

タコマは現在、米テキサス州とメキシコのバハ・カリフォルニア州の2工場で生産しており、メキシコ新工場を含む3工場でのタコマの生産能力は年40万台近くとなる見込み。バハで18年に計画していた年約10万台から16万台以上への能力増強は維持する。

両社のEV開発を融合

EVについては、両社による混成チームを結成して両社の開発を融合する。車体のハード部分とソフトウェアの両面でプラットフォームの共同開発を進める。コネクテッドカー分野でも、車載用マルチメディアシステムや通信技術の開発を連携して推進する。

両社間の商品補完も拡充し、トヨタはマツダに小型商用2ボックスバンを日本で供給する。今後、グローバル規模でも補完の可能性を検討する。

両社はこれまで、トヨタのハイブリッド技術のマツダへのライセンス供与や、マツダのメキシコ工場でのトヨタの小型車生産などで協力してきた。15年5月には、環境・安全技術分野を軸とする包括提携を発表、当時は資本提携の可能性を否定していたが、米グーグルなどIT企業も参戦し、自動運転やEVシフトなど車産業全体が大きな転換点にある中、関係強化が必要との判断に至った。

資本提携では、マツダが第三者割当増資を通じて新株約3193万株を発行し、トヨタが500億円で取得する。トヨタのマツダへの出資比率は5.05%となる。一方、マツダはトヨタが実施する自己株式処分により、同額相当のトヨタ株式0.25%を取得する。株式取得日は10月2日となる。

両社は「将来の協業テーマに応じて資本拡大を検討していく」(マツダの丸本明副社長)予定だが、「自主独立性は担保される」(トヨタの寺師茂樹副社長)ことが前提という。

マツダは新株発行で調達する約500億円を米合弁工場建設で同社が負担する約880億円の一部に充てる。不足分は自己資金や将来の資金調達でまかなう予定だ。

(白木真紀)

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