ホームでギョーザ、「幻の3番線」で食べる喜び 両国駅で期間限定「ギョーザステーション」

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だが、私は2010年12月に3番ホームから列車に乗ったことがある。臨時快速列車として運行した「お座敷東金号」がここから出発したのだ。乗車したのは12月24日、ちょうどその日予定が空いていた鉄道仲間たちが集まり、クリスマスなのでケーキやチキン、おすしにスパークリングワインなどそれらしい物を持ち寄った。

ホームではおでんの屋台や軽食、お弁当なども売られており、それらを買ってこの列車に乗り込むサラリーマンの姿も多く見られた。車内は掘りごたつ式のお座敷タイプ。のんびり飲食できて大変楽しかったのでまた乗りたいと思っていたが、この列車はこの時を最後に運行されず、使用車両の「ニューなのはな」も2016年に廃車となった。つくづく残念である。

両国ステーションギャラリー3番線臨時ホーム入口は、写真ギャラリーにもなっている(筆者撮影)

そんな楽しかった記憶のある両国駅3番ホーム。今回も楽しそうな企画に期待しながら西口方面へと向かう。

改札内の、赤絨毯(じゅうたん)が敷かれた3番線臨時ホーム入り口に回ると、案の定、ずらりと行列ができていた。知り合いはどこに並んでいるのか……と探しながら進むと、なんといちばん前!

「2時間前に来たらまだ誰も並んでなかったよ」とのこと。並んでおいてもらってなんだが、張り切りすぎである。その後ろには1時間半前頃から少しずつ人が並び始め、1時間前になって、かなりの数となったらしい。

破格の450円!制限時間も45分!

17時になった。

「開店します」という係の人の案内で、並んでくれた知人、知り合いの親子と共に4人で入場。ホームのいちばん端の席に案内された。特等席である。

カチコチだった冷凍ギョーザだが、あっという間に火が通る(筆者撮影)

さっそく最初にスターターキットを4人前購入。冷凍ギョーザ1袋(12コ入り)とドリンク1本(瓶ビール中を選択)、ノベルティのタオルがセットになって1人前450円という安さ! 値段は45周年に合わせたのだと思うが、実は制限時間も45分なのだ。もたもたしてはいられない。

設置されたコンロの上に鎮座しているフライパンに、さっそく冷凍ギョーザを並べて焼き始める。フライパンにぎゅうぎゅうに詰めてちょうど2袋分、24個が並んだ。ふたをして、置いてある5分の砂時計をひっくり返してしばらく待つ。ここまできて、やっとビールが開けられる。

2番線に入ってくる総武線の乗客からは丸見えだ(筆者撮影)

2番ホームに総武線の電車が入ってきた。ちょうどラッシュの時間帯なので、次々と電車がやって来る。意外と向こう側のホームや電車に乗る人たちの目線は気にならない。いつも地元駅から乗る車両を眺めつつ、ビールで乾杯した。駅アナウンスや列車の走行音、フライパンからはジュー!という音が聞こえ始め、なんともにぎやかだ。

次ページ待つこと5分、そのお味は…
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