政権を担えない民進党の「果てしない罪深さ」

党内対立で政策作れず、社会党の二の舞いに

政策面では党内に「政権準備委員会」をつくり、都道府県組織や連合、各種民間団体、さらには自民党の支持組織である経団連や経済同友会などからも要望や意見を聞いて党内で議論し、それを「マニフェスト」という形にまとめていった。自民党が得意としたバラマキ政策には批判的で、低成長時代を迎えるとともに膨大な累積債務を抱える財政の現実を前に、消費税増税や財政再建の必要性を打ち出すなど国民に負担を求める政策も明確に打ち出していた。また徹底したボトムアップ方式で、民主党を国民に知ってもらい信頼してもらおうという強いエネルギーを持っていた。当時の担当者は「多くの国民を巻き込んだ国民運動に広げようと考えた」と語っていた。

一方、統治システムの改革はやはり党内に「政権運営委員会」などの組織をつくり、政治家と官僚の関係、内閣と与党の関係などについて議論を重ね、政権獲得した場合の「100日改革プラン」「300日改革プラン」という文書にまとめていった。自民党政治には「党内派閥や族議員の跋扈」「内閣と党の二元的システム」「官僚主導の政策決定システム」「中央省庁の縦割り行政」などの問題点があったとして、「政治主導、官邸主導の政策決定」「内閣と与党の一体化」などの基本方針を打ち出した。鳩山内閣で実際に行われた「事務次官等会議の廃止」や「事業仕分け」などもこうした過程で生まれたアイデアだった。

幅広い層を巻き込んでのこうした議論の成果が国政選挙のたびに「マニフェスト」などの形で掲げられた。そこには理念先行で現実味を欠くものもあったが、マンネリ化した自民党政治に飽きていた国民にとってある種の新鮮さがあったことは間違いない。しかも、その決定過程が浮ついた思い付きや場当たり的なものではなく、党内で時間をかけて議論した成果物だった。そこに民主党の誠実さと真剣さ、そして政権を目指す政党としての責任感を見いだすことができた。それが民主党を自民党にとって代わりうる政党へと成長させたのであろう。

批判と面罵に終始、自らのアイデンティティなし

残念ながら民主党は未熟な政権運営の果てに党が分裂し総選挙で大敗した。その傷跡はあまりにも大きく、立ち直る兆しはまったく見えない。それが今の民進党である。

2012年12月の総選挙敗北の総括も不十分なまま、民進党はあらゆる場面で安倍晋三首相や閣僚、さらには官僚に対する批判を繰り返している。しばしば党の部会などの会議をマスコミに公開し、議員らが官僚を面罵する姿が映し出されている。短いながらも政権運営を経験した政党ならば、その経験を生かし建設的な面も持っていてしかるべきだが、その姿は単なる「批判政党」の域を出ていない。

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