借金1000兆円は「成長+増税」で返せるか 消費増税と成長戦略の合わせ技でも力不足

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ところが、アベノミクスが成功したとしても、20年度の黒字化は実現できない。中期財政計画と同時に公表された内閣府の試算(下図)によると、安倍政権のもくろみどおり名目3%成長が今後10年続く想定でも20年度に2%の赤字が残る。名目3%成長はバブル崩壊以降、一度も達成できていない数字だ。より現実的な2%成長だった場合、15年度以降は赤字幅すら減らない。

やっかいなのは、消費増税の先行きに不透明感が漂っていることだ。異次元緩和を仕掛けたリフレ派の金融政策ブレーンが増税先送りや毎年1%ずつの漸次増税を主張。これに応じるかのように、増税をめぐる集中点検会合を開くことを首相が指示し、事がややこしくなった。中期財政計画が閣議決定でなく「了解」となったのも、増税判断が決着していないからだ。このため内閣府試算も増税を前提にしていないと誤解する人も多いが、実は増税が前提だ。

身内からも反発必至

消費増税は財政再建の切り札であり、10%への税率引き上げで新たに得られる税収は少なくとも10兆円を超える。とはいえ、消費増税を予定どおりに実行し、なおかつ3%成長が達成できたとしても15年度の赤字半減はギリギリで達成可能な水準であり、20年度黒字化は無理。金利上昇による利払い増で借金の絶対額も膨れあがる──これが現実だ。

増税の先送りや税率の上げ幅の縮小となった場合、財政再建はもっと困難になり、消費増税と一体となっている社会保障改革も含めて何もかも予定が狂う。野党のほか、超党派で増税に道筋をつけた与党議員からの反発も必至だ。政府としても、説得力ある代替策を示さなければ許されないだろう。

8月12日に発表された13年4~6月期のGDP速報値は年率換算で名目2・9%増だった。増税の最終判断は9月下旬から10月初旬。安倍首相が抱える宿題は重い。

長谷川 高宏 東洋経済 記者
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