ザ・ペニンシュラが開業 上陸続く外資ホテル 共栄か、全面戦争か
開業ラッシュの裏で深刻な人材不足
市場が盛り上がる一方で、深刻なのは人材不足だ。いずれのホテルも開業スタッフの確保に苦労しているのが実情。やむをえず未経験者の採用が多くなれば、開業時のサービスクオリティに問題が出てしまう。
ペニンシュラ東京では、苦肉の策として、開業前に20人のホテルスタッフを、香港とバンコクの系列ホテルに派遣して10カ月間の研修を受けさせた。
マネジメントクラスでも人材不足は顕著だ。ペニンシュラ東京の総支配人に就任したマルコム・トンプソン氏は、直前までパークハイアット東京で総支配人を務めていた。宿泊担当の副総支配人に就いた田中雄司氏も「フォーシーズンズホテル丸の内東京」の元副支配人である。
ホテルマネジメントの経験があり、本部とのコミュニケーションに必要な語学堪能者となれば、どうしても人材は限られる。幹部の奪い合いが起きるのは致し方ない。
だが、これでは、競合間の差別化どころか、手の内がすべて丸見えだ。ある外資系ホテル幹部はこう打ち明ける。「この業界は、パイを取り合うというよりもまだ需要開拓の段階。競合同士ではあるが、(複数の会社を渡り歩くのも)一つの会社にいるのと同じ感覚なんですよ」。
現在はまだ市場成長期で本格的な「高級ホテル戦争」の勃発はまだ先ということなのか。「新しいホテルは、開業後3年間は物見遊山の客に支えられる」(業界関係者)ともいわれる。各社の本当の実力が試されるのは、市場開拓も一巡するそれ以降ということになりそうだ。
(書き手:堀越千代 撮影:高橋孫一郎)
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