甘すぎた参院選 根底にあった「ムズムズ」 自民党はまず憲法42条を改正したら?

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安倍首相は、選挙前から「ねじれ解消」を国民に訴え続けてきました。しかし、政権がそれを国民に訴えかけるのは何かおかしくないでしょうか。 

国民が投票によって「ねじれ解消」を決めるのは何の問題もありません。短期的にも中長期的にも正しい政策であると国民が判断しているからです。しかし、「ねじれ国会」をまるで諸悪の根源のように糾弾している首相は、参議院の本来の役割を否定してしまっています。 

憲法42条では、両院制をこう規定しています。

憲法42条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。 

参議院の役割を否定するも同然の発言をするなら、もはや永田町に2つの議場がある意味などありません。憲法9条の改正よりも、まず憲法42条を改正し、衆議院だけで動く政治体制にすればいい。そのほうが政権を持つ政治家にとってはラクに決まっています

政治家も国民も甘すぎる

まあ、憲法改正の件はさすがに冗談としても、ボクは参議院の意義をないがしろにする政権と、その戦略に違和感を持たないどころか安易に乗ってしまう大多数の国民に対しては、軽いめまいを感じます。政治家も国民も、ちょっと甘すぎやしませんか。

参議院のあるべき姿とは何か?

ボクにとって理想の参議院とは、「国民によって選ばれた貴族院」です。 

戦前、参議院のかわりに存在した貴族院は、政党や選挙に関係なく、非公選の皇族・華族・勅任議員によって構成されていました。自由民権運動やらを展開する運動家たちも名を連ねていた衆議院とは面白いほど考えが異なっていたため、さきほどのような参議院不要論が巻き起こるわけもなく、良い意味でも悪い意味でも衆議院とは一線を画していました。 

メディアは細かい対立案件ばかり取り上げるな 

では、ボクの理想とする「国民によって選ばれた貴族院」とはどんなものかというと、政党の力が及ばない、公選制の新しい議院です。  

ごく少数の細かな対立案件ばかりがメディアで取り上げられるなかで、 すべての議員が政党の枠を超えて超党派として活動し、それ以外の多くの重要案件を連携して推し進め、国家において真のリーダーシップを発揮していく。そんな議院が必要だと考えています。 

いきなりは難しいでしょうから、まずは国民の間で両院制の意義の再確認を行う。メディアの報道においても、政争以外の部分を積極的に報じるべきです。 

ある民放の参院選特番では、民主党の候補者がポスターで民主党のロゴを極端に小さく印刷したことを「民主党隠し」と皮肉っぽく伝えていましたが、ボクは参議院において正しい政治に参加するため、くだらない政争から逃れるための賢明な判断だったと思います。 

しかし結局、「法案成立数ナンバー1」で各界からの評価も高かった超党派の当該候補は、党の信用失墜もあってか落選しました。 

本来、政治家が国民を変えるのではなく、国民が政治家を変えるのが正しい姿です。

一人ひとりが政治体制に対して正しい認識を持ち、政治家の甘さに敏感になること。ムズムズと違和感を覚えたら、きちんと自分の意見を出すこと。それができるようになれば、政治はもっと公平で安定的になり、われわれの生活も長期的に見れば幸せなものとなるはずです。

Tehu 慶応義塾大学1年生・デジタルクリエーター

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てふ / Tehu

1995年、神戸市生まれ。灘中学校、灘高校を経て現在、慶応義塾大学1年生。中学生の時にプログラミングに興味を持ち、2009年にiPhoneアプリ「健康計算機」を公開。ダウンロード数が無料アプリで世界第3位となり、話題となる。以後、「放射能計算機」、劇団ひとり監修の「僕の余生。」などのアプリ制作を続ける。2010年からUstreamで「Tehuのオールナイトニホン」を放送開始。米アップルの新製品記者発表を同時通訳する番組を定期的に放送し、人気を集める。2013年、グーグル日本法人元会長の村上憲郎氏との共著『スーパーIT高校生“Tehu”と考える 創造力のつくり方』(角川書店)を発売。現在、クリエーターとして多くの企業のプロジェクトに参加するほか、講演や雑誌連載など多岐にわたって活動している。中国籍で本名は張 惺(ちょう・さとる)。日本語、英語、中国語を操る。

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