大盛況の「京急ビール電車」で起きた緊急事態 キリンとのコラボ、人気高まり運行本数増加

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緊急時に備えて1号車にトイレが1つだけ設置されていたが、「あくまで緊急用」との理由から、乗客へのアナウンスはなかった。小島新田での発車間際に「トイレに行きたいから降ろして」と泣きついた女性参加者がいた。発車時間が迫っているという理由でその願いはかなわず、結局この女性はスタッフに連れられ、車内トイレを利用したようだ。

また行程終盤には、飲みすぎのせいか寝入ってしまった人も散見された。寝るだけならよいが、悪酔いして嘔吐でもしたら周囲には大迷惑だ。

最近はビール電車を運行する鉄道会社が各地で増えている。他社の状況はどうか。関東鉄道の「関鉄ビール列車」は、車内にトイレを設置していない。およそ3時間の行程だが「十数分間隔で途中駅に停車するので、我慢できないというお客様はいません」という。

他社も知恵を絞る「緊急事態」への対応

テーブルは、列車の揺れで倒れないように固定されている(撮影:尾形文繁)

25年前から夏季にビール電車を運行している豊橋鉄道。運行スケジュール上、トイレのための途中停車時間は十分確保しているが、「どうしても我慢できないというお客様がいたら、途中の停留所に臨時停車して下車していただくことも可能」(広報担当)という。ただし、後続の営業列車もあるため、乗客を待たずにそのまま発車してしまうそうだ。

1人でビールを5~6杯も飲めば、突然トイレに行きたくなる人もいるし、酔い潰れる人もいるだろう。ある鉄道会社のビール電車では嘔吐した参加者が出たことがある。スタッフがてきぱきと消毒、消臭などの処置をして事なきを得た。

狭い車内でこうした事態が起きると、楽しい思い出は一変する。イベントを楽しい思い出にするためには、安全運行だけでなく、こうした緊急事態にも備え万全の対策を練っておくべきだろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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