ドッグフードは「薬」として進化を遂げていた 犬向け「療法食」の効果は人間向け以上

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では、尿石を治療するドッグフードは、どんな仕組みになっているのでしょうか。

尿石というのは、酸性の液体の中では溶けます。通常、おしっこは、酸性でもアルカリ性でもなく中性ですから、尿石はそのままでは残り続け、ワンちゃんは苦しむわけです。

ところが、尿石を治療するドッグフードを食べると、おしっこが少し酸性になります。

毎日、これを食べているとおしっこはずっと弱い酸性のままですから、尿石が少しずつ溶けて消えるのです。

この療法食の効果はすばらしく、尿石のワンちゃんのほとんどがこのフードによって治ります。

人間も動物ですから、体の構造の基本は犬と同じです。おそらく、同様の理屈で、療法食をつくることは不可能ではないはずです。

でも、人間の場合、人体実験ができませんから、残念ながら、なかなか実現は難しいようです。

糖質制限食を先取りしていた肥満の療法食

やはり動物病院に来るワンちゃんに多いのが肥満ですが、これに対する療法食はもちろんあり、ロイヤルカナンやヒルズが出しています。

肥満の療法食では、一般的なドッグフードに比べて食物繊維が多く含まれています。食物繊維を増やす利点はいくつかあります。 

まず、食物繊維にはカロリーがありません。ほかの成分を普通の総合栄養食と同様にした場合、必要な栄養を損なうことなく、低カロリーになります。

次に、食物繊維が多いと、カロリーの割に満腹感があります。食物繊維は胃の中に入ると水を吸収して膨らむからです。そのため、ワンちゃんは空腹を感じずに肥満解消となるわけです。

そして、最も注目すべきことは、食物繊維を増やすと、糖質制限になることです。炭水化物は食物繊維と糖質でできています。ですから、ドッグフードの炭水化物の量を同じにした場合、食物繊維を増やすと糖質が減ることになります。

つまり、食物繊維を増やした療法食とは、糖質制限食でもあるわけです。

日本では人間のダイエット法として糖質制限食が広まってきましたが、犬の肥満のための療法食は、もっと以前から定着していました。

糖質が少なければ少ないほど、食後の血糖値が上がりにくくなります。血糖値が上がらないことで、肥満ホルモンともいわれるインスリンをあまり出さなくてもすみます。肥満ホルモンが少なくなるので、やせていくわけです。

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