佐川急便やヤフーが進める「週休3日」の盲点 利点も大きいが過重労働や待遇悪化も
(2)時短タイプ
このタイプは所定出勤日が1日減っても、出勤日1日当たりの所定労働時間は増えない。その代わり、基本給や賞与なども出勤日数に比例して削られる。
日本におけるこのタイプの先駆者は、日本IBMであろう。日本IBMでは、今から10年以上前の2004年から、週休3日はもちろん、週休4日さえも認める短時間勤務制度を導入している。制度を利用するための理由は原則問わないということで、育児・介護はもちろんのこと、弁理士などの難関資格に挑戦する勉強時間の確保のため、この制度を利用した社員もいたそうだ。
ヤフーは週休3日勤務制度を導入しているが…
直近でこのタイプの週休3日の正社員制度導入で話題になったのはヤフーである。ヤフーは「えらべる勤務制度」として、育児や介護を行っている一定の基準を満たす社員からの申請により、週休3日での勤務を選べる制度を平成29年4月1日から導入すると発表した。賃金に関しては、「制度利用により取得した休暇分は無給」ということである。
ただ、私が若干の違和感を持ったのは、「制度利用により取得した休暇分は無給」という一文である。ヤフーのプレスリリース原文のままの引用であるが、「休日」ではなく「休暇」という表現を使っていることに対してだ。
法的に「休暇」とは、「本来は出勤義務があるが、出勤勤務を免除された日」という意味である。これに対し「休日」とは「初めから出社義務が課されていない日」という意味である。
この定義は、正確に覚えておくと労働基準法に関してさまざまな場面で理解が進む。少し話がそれてしまうが、「有給休暇」は、本来は出勤義務がある日に賃金をもらって休むのだから「休暇」という文言を使うのである。「休日出勤」は、出社義務のない日であるにもかかわらず出社をしなければならないから「休日」という文言を使う。
話を戻すと、ヤフーは「休暇」という表現を使っているので、「えらべる勤務制度」で週休3日を選択しても、3日間の休日が与えられるのではなく、法的には「2日の休日+1日の休暇」とも解釈でき、厳密な意味で週休3日制を導入したと言い切れないかもしれない。だが、労働時間短縮を実現するための大きな布石であることは間違いないだろう。
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