「マンション管理人」の人手不足がヤバすぎる 知られざる実態、時給3割増でも集まらない

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マンションの管理人の仕事には「3K」のイメージも付きまとう。清掃や設備の点検などは重労働で、住民からのクレーム処理に追われることも少なくない。

業務の一部軽減に機械化も考えられるが、マンションごとに形状が異なり、清掃ロボットなどの導入は簡単ではない。そもそも管理組合側・管理会社側とも投資を行える資金的な余裕がない。

さらなる重責を担うケースも出てきた。

人の命まで守る重責

業界団体であるマンション管理業協会の岡本潮・理事長は、マンションストック630万戸(国土交通省)のうち、「住民の約半分が高齢者、さらに6%程度は認知症」と推計する。東急コミュニティーの雑賀克英社長は、「極論ではなく、マンションの管理人は生活そのものをサポートし、『人の命を守る』役割まで担うようになっている」と解説する。

責任は重いのに待遇はそれほどでもない。管理人の職に人が集まらないのは、こうした側面もある。

埼玉県にある約70戸のマンションでは昨年、管理会社から要請のあった管理費の値上げを受け入れた。担い手がいないため、管理時間を短縮するか、値上げを受け入れるかの選択を迫られた結果だった。

2017年には団塊の世代が70代に突入する。ここ数年、マンション管理人は団塊の世代が担ってきたが、これからは60代の人口自体が減っていく。マンション管理人の不足は、生活の場の崩壊にもつながりかねない。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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