神保町「未来食堂」の"非常識な成功"の秘密 ITエンジニアが定食屋をやってみたら…

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ルール2 “やらなくてはならないこと”の質を変える

“どうせやらなければいけないこと”は、すべてお客様に結び付けて考えています。

たとえば、経理です。未来食堂では、月当たりの売り上げや原価をすべてインターネット上で公開しています。公開、非公開にかかわらず、経理は“やらないといけないこと”です。それを公開すれば、お客様にもっと未来食堂のことを知っていただける、またとないチャンスになります。

また、未来食堂のメニューは毎日、日替わりですが、同じメニューをリピートすることはあまりありません。夏なら冷製の煮物、冬なら牛すじ大根といったように、季節に合わせてメニューや食材を変えています。メニューは前の週とかぶらない季節の物で、種類や調理法のバランスも見ながら翌週のメニューを組み立てます。ひとりでメニューを考えると、自分ができる範疇でのメニューを組んでしまったり、似たようなアイデアしか出てこなかったりするため、想像以上に大変な作業になってしまいます。

そこで、週末の空いた時間に来店されたお客様に「来週、食べたいものはありますか?」と聞きながら、その場にいる全員でメニューを決めていく“メニュー会議”を開催することにしました。お客様も楽しんでくださっており、私自身も気持ちを新たに仕事に取り組むことができています。

図のように、Dを減らしつつ、CをAに変えていく発想を持てば、ただの作業にも、本質的な価値をつけることができます。

大事なこと以外はまったくしない

ルール3 “やる量”ではなく“時間”を決める

よく「せかいさんはいったい何人いるんですか?」と言われるほど、私は、人から忙しく見えているようです。朝11時から夜10時ごろまで約70食の食事を未来食堂で提供し、ほかに雑誌の連載や取材の対応、本の執筆なども行い、メニューの研究のために休日は飲食店をまわることもあるという日々を送っています。

もちろん、本当にお忙しい方はもっともっと忙しいでしょうから、私程度ではたかが知れていると思いますが、皆が私を見て驚く、1つの奇行があります。それは、“大事なこと以外はまったくしない”ということです。

たとえば、休日は他店の研究のためにいろいろな飲食店で食事をしますが、普段の食事はポップコーンだけで済ませることもしばしばです。何を食べようかと考えるエネルギーがもったいないからです。

それから、いまだに自宅の住所がわかりません。家の場所はわかるのですが、番地もマンション名も覚えられないのです。

最近まで生まれ年の西暦と和暦がわかりませんでした。おそらく、脳が「必要ない」と判断して忘れてしまうのでしょう。

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