ローソン玉塚氏、「超スピード転職」の内幕 創業者と出会って半年で社長就任が決まった

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しかし、最近ではそうした流れも一巡しつつあり、売上高の成長には減速感が出てきている。自動運転技術の発達やスマート家電の登場によって非ゲーム分野でのデバッグ需要の増加が見込まれるが、HUGはまだその分野を収益柱にはできていない。会見でも宮澤社長は「色々な会社からお話を頂くなどチャンスはあるが、それに応えられる体制ができていない」と危機感を語っていた。

玉塚氏は「(ユニクロやローソンと競合する)小売り以外の業界に行きたかった」と語った(撮影:梅谷秀司)

次なる成長に向けた体制作りを担う人材として、白羽の矢が立ったのが玉塚氏だった。宮澤社長が共通の知り合いを通じて知り合ったのは半年ほど前のことだ。

二人はすぐに打ち解け、土日も経営について話し合う仲になり、今年1月には玉塚氏がHUGの顧問に就任した。「うちの会社には元ニートや元ミュージシャンなど個性的な人材が多い。玉塚さんは現場でそうした人と真摯に話していた。それを見て、よい反応が起こりそうだという感じがした」(宮澤社長)。

玉塚氏からさまざまな提案を受けた宮澤社長は「だったら一緒にやろう」とオファー。玉塚氏も「宮澤さんの覚悟とHUGの事業性に魅力を感じた。僕が台風の目になって色々な人を巻き込み、宮澤さんのビジョンを実現していこう」とこれを快諾した。

宮澤社長は玉塚氏の就任を機に取締役を退任する意向だったが、玉塚氏が「宮澤さんの発想力やビジョンは大きな資産。宮澤さんを含めたチームで経営したい」と説得し、宮澤社長は会長として経営にかかわることを決めたという。

就任前にもかかわらず、改善策を披露

会見で玉塚氏は、注力分野として人と商品と販売の3つを掲げた。人員については、現在約8000人いるテスターについて「マネジメントやオペレーションの仕組みなど、改善できるところが色々ある」と語った。商品面については「HUGの商品は、人材と技術の掛け合わせでできている。これを整理整頓し、ゲーム以外の分野の商品ラインナップを短期間でそろえることが必要だ」とした。

さらに、営業面では「驚くことに、この会社の営業マンはゼロ。今まで宮澤社長が一人で営業していた。すでに私の方で強い販売チームを育成しつつある」と話し、再成長に向けた筋道を説明した。

玉塚氏の就任が発表された5月15日、HUGの株価は先週終値と比べて3.46%下落した。先週金曜日の12日に発表された決算が会社予想を下回った影響とも取れるが、社長交代への懸念が表れているという声もある。玉塚氏は市場の懸念を吹き飛ばし、HUGを再成長に導くことが求められる。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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