保育園「補助金100万円」にたかる業者の実態 ICT機器を定価より高く販売、契約書作らず

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職員の出退勤をタブレット上で管理することができると説明を受けて、A園では1台15万円のQRコードリーダーを購入した。だが、納品されていざ導入という段になると、操作の説明をするためにやってきた担当者からは「システムが大阪市の形式に対応していない」と説明を受けた。結局、使い道のなくなったリーダーは返品することになった。

問題はこれだけではなかった。複数のパソコンを接続する中継装置、スイッチングハブも購入し、請求書には単価6万円と記されていた。ところが、納品された商品に記されていた品番をメーカーのウェブサイトで確認してみると、「希望小売価格4万9800円(税抜き)」と書かれていた。さらに、一般の販売サイトでは、最安値1万3303円で売られていたという。

希望小売価格より高い価格で請求されたスイッチングハブ。請求書を確認してみると、「SW-HUB」とデタラメな品番が記されていた(筆者撮影)

何かの誤りではないかと思ったA園の職員は、請求書の品番を確認してみたが、項目には「SW-HUB」と記載されているだけで、正確な記載がない。同職員は、「適正な価格かどうかという追及を避けるための、マスキングのように感じる」と語る。

契約書が存在しない

業者に不信感を抱いたA園の職員が契約内容を確認しようとしたところ、さらに驚くべきことが明らかになった。請求書はあるものの、契約書が存在しないのである。導入したソフトの「Cプラン」がいったいどのような内容で、適正な価格で請求されているのかすらもわからない。事実上、業者の言い値がすべて通ってしまう状態だ。

大阪市内にあるICT機器販売業者からは、未だに契約書が送られてきていない(筆者撮影)

この状態を危惧したA園の職員は、2017年の3月半ばに業者の責任者を呼び出し、その場で契約書の作成を求めて同意を得た。その後、すでに購入しているソフトウエアの契約プランなどが、つじつまを合わせるかのように見積もられた請求書と、あとづけの契約書案が送られてきたが、5月2日現在もまだ、正式な契約書は受け取っていない。

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