益子直美が12歳下の夫と乗り越えた死の恐怖 つらい妊活、そして突如襲われた大病
異変はバレーボール部の指導中。ちょっと体を動かしただけなのに息が上がってしまった。診断を受けたところ、医師から告げられた病名は「心房細動」だった。
「心房細動」とは、不整脈のひとつで、心房が痙攣するような症状をいう。直美さんの場合、症状は重篤ではないものの、血管の中に血栓ができ、それが脳に及ぶと脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、腎臓なら腎梗塞の原因となる。全身の臓器を侵すリスクがあることから、アメリカでは癌が転移するのと同じ問題だと捉えられている。
このまま放置はできない。直美さんは診察を受けたその日に、手術を行うことを決めた。直美さんが受ける手術は、カテーテルアブレーションと呼ばれるもので、太腿と胸に穴を開け、心臓まで医療用の管を入れる。異常のある部分を電気で焼き、心臓の動きを正常に戻す。
それまで大きな病気をしたことのなかった直美さんは、初めて「死」という言葉を意識した。雅道さんの前では努めて明るく振る舞ったが、心は激しく揺れた。
「50歳になってきて体力も落ちてきてるし、子供も作ってあげられなかったし、おまけに心臓病……ポンコツになっていく。雅道の伴侶が私で良かったのか? 私は何を与えてあげているのか?」
手術を前に妻が夫に伝えた言葉
年の差婚だからこその苦悩。だから、手術を前に、直美さんはノートに自分の思いを書き始めた。この手術のためだけではなく、万が一、自分が先に死んだ時のために。
今年4月13日午後3時。直美さんの手術が始まった。一旦、病室に戻った雅道さんの目の前には、直美さんが書いたノートがあった。それには、こんなことが書かれてあった。
手術開始から2時間半後。心臓の形が一部狭くなっていて難しいところがあったものの、心房細動のスペシャリスト曽原医師の手によって、手術は無事成功した。
直美さんを迎えた雅道さんの第一声は、
「無事でよかった」(雅道さん)
夫が望んでいたのは、それだけだった。ふたりは、これからも一緒に年を重ねていくことだろう。
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