上値重いドル/円、反転のカギは何か? 雇用統計発表後のドル/円を占う
[東京 5日 ロイター] - ドル/円は2日の7月米雇用統計を受け、当面は上値が重く推移するとみられている。一方、ドル/円の方向感の変化は米量的緩和政策(QE)の縮小時期をめぐる思惑では出ず、日本のデフレ脱却期待の動向がより大きな影響を与えるとの見方が出ている。
2日の7月米雇用統計では非農業部門雇用者数の前月比の伸びが市場予想に届かず、ドル/円は急落した。週明け5日のマーケットでも、ドル/円の上値は重く、東京時間の夕方には98円前半に下落した。
大手証券の関係者は、3つの点からドル/円は上値を追いにくくなったとみている。米雇用統計の発表直前にかけてドル/円は上昇基調を強めたが、発表の直前に付けた高値は99.95円。同関係者が注目していた100.26円には届かなかった。5月の高値103.74円、7月8日の高値101.54円を結んだ右肩下がりのラインを今月2日時点まで延長するとこの値となる。
こうしたテクニカル面の要因に加え、10年米国債利回りの急低下や、「夏季休暇で、日本の金融法人の円売りが出にくい」ことで、ドル/円には下方圧力が掛かりやすいと指摘する。
りそな銀行・市場トレーディング室の尾股正寿シニアクライアントマネージャーは、ドル/円が100円回復を達成しないまま下落したことで、ドル/円の先行きに対する「印象は悪い」とする。
しかし、市場ではこのままドル/円の下落が続くとの見方は多くない。りそな銀行の尾股氏はQEの縮小開始時期をめぐる観測で、再びドル安に振れることはあっても、緩和の縮小方針自体は既定路線のため「長くポジションを持つ人にとっては、ショートで向かうのは厳しい相場」とする。
先の大手証券関係者も「中長期的にはドル/円は上だとの見方から押し目を探している参加者はたくさんいる」と指摘。7月末にサポートラインとして機能した97.50円を割り込めば、一時的に下げが加速する可能性はあるものの、深押しは考えにくいとする。