外国人が感じる東京に絶対ない九州の「魅力」 2016年の外国人観光客数は30%増!
一方、欧米の観光客のお気に入りは屋久島だ。宮崎駿のアニメで有名になっており、その美しい自然景観やハイキングコースを楽しみたいという人は少なくない。意外かもしれないが、ラーメンを食べるためだけに訪れる欧米人観光客も少なからずいる。福岡県にある相島も「猫の島」として、最近人気が出てきたようだ(ただし、ローカル線やフェリーを使わなければいけないので、訪れる観光客はそれほど多くない)。
九州に引かれるのは、何も観光客だけではない。私のような、日本に長く住んでいる外国人(私はもう外国人ではないが)も、九州、特に福岡に引っ越して定住することが多い。東京や大阪など日本のほかの大都市よりもくつろいだ快適な地域なうえ、地元の人達もフレンドリーで感じがいいので、長期的に住み、家庭を持つにはもってこいの場所だ。佐世保市にある米海軍基地に駐屯後、日本人と結婚して家庭を持ち、長崎から福岡に引っ越してくる人たちもいる。
外国人観光客にもっとアピールするには?
私自身も、日本に住んで5年ほど経ってから九州に引っ越した。多くの外国人観光客が求めるようなものに興味があったわけではない。それよりも福岡の食文化に心底ほれ込み、九州全体の多様性や自然と都市部の混在、この土地に住む人々の人柄にとても引かれたのである。
ただし、九州はひとくくりにするには大きすぎるし、文化的にも風習的にも多様な土地柄なので、自分は「九州に住んでいる」とは考えていない。それよりは前述のとおり、大都市で便利な割には、オープンかつリラックスした雰囲気を持つ福岡という都市が気に入って住んでいるだけだ。私の外国人の知人でも、福岡に戻ってくる人(リピーター)が少なくないが、彼らもまた、日本にありながら「独立的」な空気さえ漂っているこの都市の魅力に引かれているのではないだろうか。
さて、今後九州がさらに外国人観光客を増やし、その人たちに繰り返し訪れてもらうためには何をしたらいいだろうか。
多くの人は観光客を引き寄せるのに、もっとも有効なのは英語の案内や表記を増やすことだと指摘する。が、私はこれに必ずしも同意しない。それよりは、九州はもっと単純に、この地域のいちばんの強みをアピールするべきだろう。それは、景観の豊かさであり、伝統的なスタイルの文化である。今日の日本独特の食品や伝統の多くは九州から来ており、島のすみずみに至るまでさまざまな歴史がある。
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