北海道新幹線「打倒・航空機」の秘策を議論へ 盛岡-新青森間「時速320キロ」へ速度向上も

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1日1往復の高速走行をどの時間帯で実施するかも問題だ。一般的な新幹線区間では、夜中に行われる保守作業の終了後に確認車が走行し、その後に始発列車が走る。これに従えば、青函トンネル区間の高速走行は始発列車の時間帯になる。

上り列車には朝6時台に新函館北斗駅から東京に向かうものがあり、ちょうどよさそうだ。ただ問題は下りだ。青函トンネルを通って新函館北斗駅に向かう始発列車は新青森発。新青森―新函館北斗間では高速走行のメリットは乏しい。

東京から出る最も早い列車が青函トンネルに差し掛かるのは10時過ぎになる。さすがに早朝から10時まで貨物列車の運行を止めるわけにはいかず、貨物が通ればあらためて確認車を走らせる必要がある。

貨物列車側にも始発前の時間帯に賛成できない理由がある。「未明に走る貨物列車の中には首都圏向けの野菜を運んでいるものもあり、到着時間が遅れると、市場への配送が間に合わなくなるおそれがある」(国交省)。

正月やGWは貨物列車が少なく、旅客需要は大きい

高速走行する新幹線とのすれ違いで生じる、貨物列車の煮崩れが悩みの種だ(写真:つぼ / PIXTA)

貨物列車の比較的少ない日中の時間帯に高速走行の時間帯を設ける案も出ているが、はたしてそれが高速走行にふさわしい時間帯なのか。確認車の作業中は新幹線も運行できないので、逆に現状の旅客の利便性を損ねてしまうという問題もある。

たった1日1往復といっても最適解は出てこない。おそらく新幹線と貨物列車、双方のダイヤを抜本的に見直さないと解決しない。列車のダイヤ変更は全国のさまざまな路線にも影響が及ぶため、簡単にはいかないだろう。

そこで新たに浮上したのが、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆など貨物列車の運行が少ない特定の時期に限定して、新幹線の高速走行を行うという案だ。この場合、1日1本と言わず、複数本の設定が可能だ。

また、こうした時期は旅客利用も多いため、新幹線側のメリットが大きい。「いろいろな案を検討する」と国交省の担当者は言うが、現状ではこの案の実現性が最も高そうだ。4月7日のWGを皮切りに今後議論を重ね、秋ごろには具体的な走行方式を決めたいとしている。

WGではもう一つ、目玉となりうるアイデアの議論が4月7日からスタートした。それは、東北新幹線・盛岡―新青森間の速度向上だ。

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