職場の「イタい人」は論理思考が破綻している 問題は「コミュ力」以前にあった!
具体的には、人々の自分に対する視線や表情を見ます。自分の発言・行動がその場で歓迎されているか、それとも批判的に見られているかは、ある程度は感知できるでしょう。
後者であれば、そのまま発言・行動するのは得策ではない可能性が高いといえます。後でもいいので「何か問題ありましたか?」と先輩などに確認することをお勧めします。意外と、その組織の文化や価値観を侵していることが少なくありません。たとえばファクトベースの発言が当たり前とされる職場で、思いつきのみで発言をしたら白い目で見られるのも当然でしょう。
特に若い人の場合、最初からそれまでの意識のままで飛ばしすぎてしまうことは往々にしてリスクがあります。もちろん、会議のシーンなどでずっと黙っているのは、それはそれで困りものなのですが、ある程度最初の段階は、その職場の空気を感じ取ったり、基礎的な知識を習得することに意識を向けるのは賢明なやり方です。
また、「場の空気を読めず、あさっての発言をしてしまう」という問題を引き起こす原因としてそれ以上に多いのは、その場の目的やイシュー(論点)を外してしまうことです。まずは目的やイシューを押さえることを意識しましょう。これは論理思考の基本中の基本です。
たとえば、皆がスピーディに情報共有することを目的としている会議で、本論とはほとんど関係のない発言をしても「無駄に議事の進行を遅らせて」と思われるだけです。
会議であれば、何のためにその会議が開かれているのかという目的を正しく把握し、また、ニューカマーである自分にどのような期待がかけられているのかを意識するだけでも、周りからの冷たい視線はなくなるものです。
自信は正しい論理展開力とファクトベース思考から
次に、「自己主張がやたらと強い」という事態への対策です。
一般に自己主張の強さは自信の表れと思われることが多いですが、実際には自信不足から饒舌(じょうぜつ)になるケースが多いものです。本人に実力が伴っていないことが多いがゆえに、いちばん「イタい人」認定に結びつきがちなケースでもあります。
これは心理学でいう「合理化」のメカニズムとも関連します。合理化とは、自分の行動や態度、考えに対して、一見論理的な説明を与えて、不安や葛藤を回避しようとする心理です。ただ、その論理の根拠が脆弱であったり偏っていたりするがゆえに、イタくなってしまうのです。
こうした人はまた、自己肯定感が低く、他人の評価を気にしすぎる傾向もあります。他人に高く評価してもらいたいがゆえに、無理にでも理由をつけて自分を正当化するのです。発言そのものよりも、「発言している自分は他人にどう見えているだろうか」ということに関心がいくわけです。その結果として、多くのことを語るわりには、根拠が個人的見解で説得力がなかったり、むやみに聞きかじりのカタカナ経営用語を使ったりしてしまうのです。
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