暴力団員数が初めて「2万人」を割ったワケ 「組」をやめた人は、どこに行くのか
ちなみに、公営住宅や銀行口座閉鎖に関する裁判などでも相次いで、『暴力団構成員という地位は、暴力団を脱退すればなくなるものであって社会的身分とはいえず、暴力団のもたらす社会的害悪を考慮すると、暴力団構成員であることにもとづいて不利益に取り扱うことは許されるというべきであるから、合理的な差別であって、憲法14条に違反するとはいえない』という趣旨の判決もつづいています。
その結果、暴力団員は自分がそのような立場であることを隠さなければならず、社会も暴力団員と知り合いであることを自慢するような時代ではなくなりました。
その流れにより、自分が◯◯組の△△だと示す、昔ながらの方法ではお金も稼ぎにくくなる一方で、暴力団は組織維持のために組員からの上納を厳しくせざるをえなくなるでしょう。そのような厳しい現状によって、現役の組員たちもやめる人が増えるとともに、加入する若者も減ってきたのではないでしょうか」
暴力団員をやめた人々の行き先
「おそらく、やめたといわれる人たちには、次の3つのパターンがあると思います。
(1)本気でやめて、組織とつながりをきっぱりと断った人
(2)本気でやめたが、組織とつながりを断ちたくても断ち切れない人
(3)本当は組織を離れていないが、対外的にやめたことにしている人
それぞれがどの程度の割合かはわかりませんが、(1)(2)の人たちの相談が、警察や弁護士にも寄せられることが、少しずつ増えているようです。
これからの課題として、(1)(2)の人たちが、社会に戻ってくるようにするためにどのようなフォローをするかという点があります。各都道府県の警察や暴追センターでもいくつかの試みが行われています。
その一例として、福岡や大阪、広島など多数の都府県の間で、暴力団離脱者が地元とは離れたところで就職できるよう情報共有する『暴力団離脱者対策協議会』による連携システムがあります」
司法研修所第46期。平成6年4月 弁護士登録。広島弁護士会民事介入暴力問題対策委員会委員長。日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会 副委員長。
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